海洋生命分子化学講座

多様な海洋生物の生命機能の基礎的性質を化学的に解明するとともに,魚介類,藻類,海洋微生物などの海洋の生物資源の有効利用を目指し,それらのもつ成分の分離と分析を行って,生物情報を集積する。さらにそれらを素材として生化学的手法,遺伝子工学的手法により,機能性をもった食糧資源や化粧品などの創出を行う。我々の講座では,そのために必要な分析技術,生化学,分子生物学に関する教育・研究を行う。さらにあわせてこれらの技術を実践する能力を習得するための教育・研究も行う。




海洋生命分子化学講座の教育研究分野

海洋生物化学

海という特殊な環境に生息する生物は,特異な生体成分を含み,興味深い生命現象を営む。本研究分野では特に海産の大型藻類と軟体動物に着目し,ヒトの健康維持に寄与する成分の探索とその機能性や細胞内動態の解明を目指す。また,ゲノム情報などを活用して,大型藻類と軟体動物の生長・代謝特性や環境応答・適応の分子機構,さらには産業的有用品種の形質発現の分子機構の解明を目指す。これら研究活動を通して,海洋生物資源の高度有効利用,持続的安定生産,維持・保全に関わる学理と技術の教育研究を行う。

水圏生物利用学

水圏に棲息する魚介類を対象とし,それらの生産する有用物質の抽出解析並びに未利用資源の開発を行うとともに,遺伝子操作を用いた魚類の品種改良や微生物による生合成のための原理と技術を研究する。また,化学物質と生体の相互作用を分子レベルで解明し,その作用機序を細胞から生体レベルで明らかにするための技術やシステム生物学に関する教育研究を行う。

水圏材料分子化学

水圏には多様な生物が棲息している。当研究室では,これら水圏生物から美容(美白,光皮膚老化)やガン,骨粗鬆症,アレルギーといった生活習慣病の予防・改善に寄与する成分を探索するとともに,科学的根拠に基づいた作用機序の解明に取り組んでいる。また,機能性食品や香粧品への応用展開を迅速にするために非コードRNAや細胞が分泌するエクソソームを利用した機能性成分のスクリーニングのための新しい評価技術の開発にも取り組んでいる。このように,本研究分野ではヒトの「生活の質」の向上に資する素材開発を目的に細胞生物学や実験動物学,栄養学の視点から教育研究を行う。

生物物性学

様々な環境下に生息する水棲生物の組織・器官で働く生体分子には, 陸棲の動植物のものとは物理化学的な性質が大きく異なるものが数多く存在する。 本研究分野では,主に水棲動物の筋肉を対象とし,比較生理学および比較生化学的な観点から, その分子論的な特性を明らかにすることに取り組んでいる。その成果は,水棲生物に関する新たな 生物学的知見の獲得のみならず,食品としての魚介類の品質保持技術や加工技術の開発にも有益となる。 本研究分野では,水産食品を対象として,水棲生物の特性に基づいた食品科学に関する教育研究を行う。

生体高分子化学

海洋および陸水に生息する魚貝類の多様な形態と機能が陸上生物のそれらと異なるのは,水中の環境に馴化するために進化した結果であり,遺伝子やそれから機能発現したタンパク質など生体高分子の相違に起因する。これらの遺伝子やタンパク質などの生体高分子の情報,構造および機能を分子レベルで解明し,有効利用に資することを目的に,その学理と技術を教育研究する。

海洋微生物学

微生物(細菌類,真菌類,単細胞藻類)を海洋における有用生物資源の一つとして位置づけ,有用微生物の探索と単離を行い,生化学的・生理学的・生態学的特性の解析ならびに有効活用するための理論と技術について研究する。また,食品微生物の制御技術の根幹をなす洗浄および殺菌技術の最適化を目的として,界面化学的な解析を軸に多面的な教育研究を行う。

水産物品質学

水産資源の高品質化・高付加価値化を目指し、酵素およびオリゴ糖などの生化学物質の構造と機能を科学的に究明し、水産物の品質および生体代謝に関する教育研究を行っています。さらに、主に海洋の生物遺伝資源から新しい遺伝子や有用微生物を探索、機能解析し、生物工学を基盤とした有用物質生産技術の開発を進めています。

海洋食糧化学

海洋生物を構成する生体分子,特に海藻由来のフェノール性化合物や色素成分,希少糖,多糖類,脂質など有用有機化合物の探索ならびに三次機能成分としてそれらの生産と利用・開発を目指した教育・研究を行う。ターゲットとなる有機化合物について,質量分析装置による構造解析や代謝物の測定,モデル生物(線虫)と動物培養細胞を用いた生理機能の評価など食品分析化学と食品機能学に関する教育・研究を行う。

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