研究理念

 [気候研究の重要性]

 猛暑や冷夏、豪雪や暖冬、異常多雨や干ばつ、北極の海氷の減少、地球温暖化。
これら異常な気候がなぜ起こるのか?
気候は、海洋・陸水・気象が融合した「複雑系」として変動するのである。
その地球の気候システムの長期変動の絡繰りや仕組みを理解し、それを基に、地球における気候システムの長期変動の予測制度向上に寄与することを目指して研究を行っている。
われわれ人類の地球に対しての理解度を深めることにより、人類の文化度の向上に寄与することを究極の目標としている。
美しき地球、不思議な地球、それらがどうしてそうなっているのか?
それらの「さま」が「わかる」こと、それは地球人にとって最も重要なことの一つであろう。
日本人は古来から和歌や俳句に気候の「さま」と人とを詠い詠み続けてきたことを思い出そう。

 [気象と気候]

 研究室では特に、気象学を主たるベースとして気候変動を理解することを中心課題として研究を行っている。
気候とは、様々な気候サブシステムが複雑に絡み合った系の平均的な状態全てである。
そして、大気・海洋・陸水・植生・雪氷など全てが気候サブシステムである。
それら全てを理解することが究極的目標である。
本研究室では、その中でも「大気」を中心として研究を行っている。
なぜなら大気は気候変動を駆動する主役であり、人類が最も影響を受ける気候サブシステムの一つであるからである。
ダイナミックに変動する大気は、海洋や陸水、植生、雪氷の変動を駆動し、逆に一方ではそれらから駆動され変動している。
大気を気候の主役と考えた場合、気候変動とは日々の気象の積分値の長期変動であると考えることが出来よう。
従って気象の長期の変動の仕組みを理解する主たる目標となる。

 [研究目標]

 地球規模での異常な気候が「なぜ?」
起こっているのか。この「なぜ?」に対する完全な答えを人類はまだ得ていない。
それを気象学をベースとして解き明かすこと。
それに挑んでいるのが我が地球環境気候学研究室である。

 [地球の気候変動と日本や三重県の気候]

 われわれは、日本そして三重県に生活の基盤を置いている。
従って広い地球の中でも、とりわけ日本や三重県の気候の長期変動が気になるであろう。
しかしながら、日本や三重県の気候は、日本や三重県の大気のみの変動で決定されているわけではない。
思いもよらない気候サブシステムの変動の影響を受けているかもしれない。
それは北極や南極の海氷かもしれないし、赤道の海洋かもしれないし、成層圏かもしれないし、アマゾンの森林かもしれないし、アフリカの砂漠かもしれない。
気候はサブシステム同士が複雑に絡み合っている。
従って、研究対象は日本や三重県などの身近な地域の気候変動研究はもちろんのこと、地球のありとあらゆるところの気象とそれに関連する気候系がその対象となる。
グローバルな視座を常に持ちつつ、具体的な研究の主対象はグローバルからローカルまでの様々である。

 



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