2015223更新

伊勢湾が一望できる,海の見える研究室!

生体高分子化学研究室

 

三重大学大学院生物資源学研究科 生物圏生命科学専攻 海洋生物科学講座 生体高分子化学研究室
Mie University, Graduate School of Bioresources , Department of Life Sciences , Marine Biological Science group
Laboratory of Biochemistry of Macromolecules.



研究室テーマ

 海洋に生息する生物は環境に適応するために,生物固有の機能を進化の過程で獲得しています。これらの海洋生物に固有の特殊な能力は遺伝子に情報が保存され,それを元に発現したタンパク質によってその機能が発揮されています。
 生体高分子化学研究室では,海洋や淡水域に生息する生物の生体高分子,とくに筋肉タンパク質の構造および機能を解析しています。さらにこれらを制御している遺伝子の発現機構を分子レベルで解析し,これらの機能を利用するための基礎的教育,研究を行っています。

サメ



STAFF

教 員

教 授

加納 哲(かのう さとし)

 

 

 

kanoh@bio.mie-u.ac.jp

 

 

 

 

 

准教授

舩原 大輔(ふなばら だいすけ)

 

 

 

funabara@bio.mie-u.ac.jp

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


主要研究テーマ

1.板鰓類筋肉の尿素耐性メカニズムの解明

2.アコヤガイ生体成分中の化粧品素材の探索

3.軟体動物平滑筋キャッチ運動制御機構の解明

 

シュモクザメ

写真1 シュモクザメ


シュモクザメの筋肉を構成しているミオシンの一次構造を調べて,その機能を解析しています。

エイ

写真2 淡水エイ


エイはサメと同じ板鰓類ですが,淡水エイは体内に尿素を持っていません。それは海産板鰓類が進化して淡水に適応したからと考えられています。淡水エイのタンパク質を調べて,サメと比較することで,尿素耐性メカニズムを解明できるかも知れません。。

 

ドチザメ

写真3 ドチザメ


ドチザメ筋肉ミオシンの生化学的性状を調べて,尿素耐性に必要な構造の特定などを解析しています。

写真4 肺魚

肺魚はまゆを作って夏眠します。そのときに体内に尿素を蓄積することが知られています。そこで肺魚がどのように尿素に耐えているのかを,タンパク質の構造を解析することによって調べています。

 

写真5 ムラサキイガイ

ムラサキイガイの足糸を支える筋肉であるABRM(Anterior Byssus Retractor Muscle)はエネルギーをほとんど使用せずに収縮し続けるキャッチ運動を行ないます。

写真6 ホタテガイ

ホタテガイの貝柱は,大きな横紋筋と白い小さな平滑筋からできています。ホタテガイは小さい方で殻を閉じ続けるのです。

 



生体高分子化学研究室Q&A

Q.板鰓類の尿素耐性って何ですか?

A.サメなどの海産板鰓類は体内に尿素を蓄積しています。尿素は浸透圧調節などに必要だと考えられています。尿素は代表的なタンパク質変性剤として知られていて,尿素が存在するとタンパク質は正常な機能を発揮できません。しかし,サメには大量に尿素が存在するのに,サメのタンパク質は尿素にさらされても,変性することなく正常に機能を発揮しています。そのメカニズムはよく分かっていませんが,わたしたちのこれまでの研究により,進化の過程でサメのタンパク質が尿素に強い構造に変化してきた可能性が分かってきました。現在はさらに詳細に調べています。

Q.二枚貝のキャッチ運動って何ですか?

A.アサリなどの二枚貝のからを素手であけたことがありますか?二枚貝は大変強い力で殻を閉じているので,道具を使わずにあけるのは大変です。それは貝柱がぎゅっと強く殻を閉じているからです。実は貝柱は筋肉でできていて,その筋肉が収縮することで殻を閉じています。その力は非常に強く,アサリのような小さな貝でも10kgくらいの力を出します。さらに面白いことに,貝柱が収縮するときにはエネルギーを使わないことが知られています。これは非常に珍しい現象で,この機構はキャッチ運動と呼ばれています。キャッチとは英語で「止め金(catch)」という意味で,貝柱の収縮機構が止め金の機構に似ていることから名付けられました。

Q.アコヤガイから化粧品ができるの?

A.アコヤガイは美しい真珠を作りますが,そんな力を持っているのであれば,きっと人を美しくできるものを持っているに違いありません。これまでにいくつかアコヤガイから化粧品が作られています。現在もさらなる研究を進めています。

Q.ほかの機関と共同研究はしていますか?

A.生体高分子化学研究室では,三重県や三重県下の企業と協力して行なっている研究があります。また,東京大学やアリゾナ大学(アメリカ合衆国),ジェファーソン大学(アメリカ合衆国)とも共同研究を行なっていて,国際的にも高い評価を受けています。

Q.三重大学以外の学生でも大学院進学は受け入れてもらえますか?

A.三重大学以外の卒業生でも喜んで受け入れます。実際に他大学を卒業した大学院生も在籍していますし,これまでにも多数在籍していました。

Q.卒業生の進路は?

A.卒業生は三重県下の企業だけでなく,全国の一流企業に就職しています。もちろんさらに勉強したい人は大学院に進学します。大学院を卒業した人は,研究職に就くことが多いようです。最近は,県庁や市役所などの公務員になる人も多いです。

Q.研究室のことをもっと知りたい。

A.研究室のことを知りたい方は,いつでも訪ねてきて下さい。大歓迎します。あらかじめ連絡をしてもらえれば,研究内容についても詳しく紹介することができます。


生体高分子化学研究室が行なっている教育活動

1.海洋化学基礎実験(2年生前期)

 化学実験に必要な基礎的な知識や技術を,実際に実験を行なうことによって学びます。ガラスで実験器具を作製したり,ピペット操作や化学反応の原理などを学びます。この実験で身に付けた技術は,卒業研究を行なうための基礎となります。

2.食品デザイン学実習(2年生後期)

 基本的な食品の製造原理や品質管理法を学び,学生が新製品を開発します。企画・開発から製造,販売,品質管理,食品衛生まで,食品に関して体系的に学びます。自分たちで作った製品が本当に世に出るかも知れませんよ。

3.生体高分子化学実験(3年生前期)

 生体高分子,つまりタンパク質や核酸(DNARNA)の基本的な取り扱い方や解析方法を学びます。魚からタンパク質を抽出して解析したり,DNARNAを精製したりします。また,バイオインフォマティクスと呼ばれるコンピュータを使った遺伝子解析を行います。この実験で最先端のバイオテクノロジーに触れることができます。

4.生体高分子化学(加納教授)(2年生後期)

 生体高分子はタンパク質や核酸のような生体を構成する巨大分子です。本講義では生体高分子の基礎的概念を修得することを目的として,タンパク質や核酸など生体高分子の構造単位,高分子化,精製,分析,構造,機能およびその活用について学びます。.

5.海洋分子生物学(舩原准教授)(3年生前期)

 生命現象の基本原理である遺伝子発現の仕組みやタンパク質の機能などを学びます。また,海洋生物に独特な機能発現の意味や,分子レベルでの環境適応について考えます。生体高分子化学をより発展させたものです。



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