2016年までに「題目：乳牛の乳房炎診断を目的とした中赤外光およびテラヘルツ波による体細胞数計測法の開発」と題した博士課程研究を行い，生乳から乳牛の状態を定常的に検査することで酪農業界最大の経済損失を生む疾病である乳房炎予防のためのセンサー研究を行ってきました． その研究では酪農現場における迅速な測定のため光学技術にフォーカスを当てており，その中で，全反射減衰テラヘルツ波分光法を用いた乳中体細胞測定手法を構築しました（Naito et al., 2014）． その後，2016～2020年までは日本たばこ産業株式会社（JT）において，蛍光指紋分光法と統計解析手法を用いた原料中微量成分のセンシング技術の開発を行いました. 三重大学においては，これまで農畜産業に対して幅広くセンシング技術の開発やデータサイエンスに基づいたアルゴリズム開発に携わった経験を活かして，まずは「フードシステムを取り巻く環境や人・動植物の声を聴く技術」の構築を目指します． 具体的には，畜水産物及び農作業者の心拍などの生体情報を圧電効果を用いて簡易的に取得する技術，光学センシング技術を用いたフェノタイピングシステムの構築を中心に研究を行っています．また，嗜好品メーカーで得た食品の味香りに関わる成分の知見を活かして，それらの成分を迅速にセンシングし，食品の美味しさを可視化する技術の構築にも取り組みます．