ウメマツオオアリCamponotus vitiosusのコロニー構成および多巣性について

中尾幸一(三重大学)oa38234@cc.mie-u.ac.jp

ウメマツオオアリは枯れ枝などの内部空間に巣を作り、複数の枯れ枝にコロニーを分巣して多巣化する。1999年〜2002年に三重県津市の三重大学内で採集した100巣のうち、女王が存在していたのは18巣であった。2002年に西洋種のキイチゴの枯茎等より採集した巣を用いて、実験室内で大型ワーカー同士の敵対行動の有無を観察することによって同一コロニーに属するかを判断し、多巣コロニーを確認した。今回はその結果と本種の生活史について報告した。

本種の多巣コロニーの大部分は単女王であった。しかし、単独巣で2〜4頭の女王が同一巣内に存在しているのが18巣中2例発見された。これらの巣はワーカー数が30〜50頭で、大型ワーカーはほとんど存在せず、小型ワーカーの多くがテネラルな個体であることから新巣と推察され、多女王創設の可能性を示唆している。

これまで発見された最大規模のコロニーは10巣に分かれ、1巣あたりのワーカー数は平均196.4頭(最少69頭,最多365頭)で、それらの総ワーカー数は1,964頭であった。また単独巣での最大はワーカー数1,097頭であった。多巣性コロニーでは女王のいる巣が最もワーカー数が多くなる傾向があった。ワーカーは小型と大型の2型性を示すが、巣内のサイズの頻度分布は連続的な2山型を示し、中間型の個体が存在した。頭幅の頻度分布では、小型ワーカーのピークは1.0mm付近、大型ワーカーのピークは1.4mm付近に存在した。外役は小型ワーカーが主に行い、ほとんど樹上で餌探索をし、葉上のアブラムシの甘露を舐めたり、アオバハゴロモから直接甘露をもらっているところが見られた。固形の餌は大顎にくわえられる大きさに切り、前方に持ち上げて常に1頭だけで運搬した。外役個体に時々連結行進が見られたが、4頭以上の行列は見られなかった。大型ワーカーは主に内役と巣口の防衛を行っていたが、実験的に大量の餌を与えたときには出巣して採餌をした。外役活動は正午付近に最も活発であったが、夜間にも活動した。

結婚飛行は、津地方では毎年7月下旬頃に発生した。卵は、繁殖虫の幼虫が繭を作って蛹になり始める6月頃と、繁殖虫が飛び立った後の8月頃の巣に多く見られた。繁殖虫が全て羽化し終わる頃から新ワーカーが羽化し、秋に孵化した幼虫は越冬し、翌年の夏に有翅虫となって結婚飛行をした。しかし、1月に採集した女王不在巣13巣中に1〜13個の卵と0〜6頭の有翅のオス成虫が存在している場合が6例あった。冬の間は全ての巣口が土などで塞がれており、多巣であっても巣間の交流はないので、その巣内でワーカーによる産卵が行われた可能性がある。