本学科には4講座があります.地域保全工学講座は,食の生産基盤に直接関わる分野であり,豊かな田園を創り・守り、安全で住み心地の良い地域を築くための教育研究を行い,日本技術者教育認定機構認定プログラム(JABEE)によって世界水準の技術教育を進めています.環境情報システム工学講座は,「生物環境」を意識し,情報を駆使するシステム工学的な考え方を重視しており,生物資源・環境であれば研究対象を問わず,創造力をもって,問題解決型の新しいシステムを創り出すことを教育研究の目標としています.森林資源環境学講座は,「植物の生態や生理,森林と人間生活との関連,森林と災害の関係,自然環境を乱すことの少ない木材,木質資源の化学的有効利用」を追究したい学生を対象に教育研究を行っています.自然環境システム学講座は,大気(宇宙・太陽とのかかわりを含む),陸地,森林,海洋を対象に,地球規模の問題から,三重県内あるいは流域内のような課題,理論的研究から人間や生物の活動に関する分析,防災や環境保全活動などの多岐にわたる教育研究を行っています.
生物資源学部では平成27年度から、資源循環学科、共生環境学科、生物圏生命科学科の3学科体制のもと、専門分野を再構成しました。
共生環境学科・共生環境学専攻の講座
田園計画学

地域計画を立てるためには自然環境,人文環境を知らなければなりません.またこれらの環境を適切に評価していくこと,ならびに環境を形成していくことが求められています.美しい田園空間を創造するために必要な自然環境の評価方法,適切なゾーニングのやり方などについて調べています.対象地域は日本のみならず,ドイツ,フランスなどの先進的な計画地域,東南アジア,南アジアなど広範に及んでいます.
応用環境情報学

本研究室では,制御理論・技術を活かしたシステム設計,計測・情報技術を応用したシステム評価を行い,低環境負荷を実現する効率的システム開発を目指しています.具体的には,低環境負荷型社会システム構築に向け,種々の製品や農産物に対して,資源投入から製造・輸送・運用段階までの網羅的な環境影響評価(Life-Cycle Assessment)に関して教育・研究を行っています.また,環境負荷低減のため,効率的な食料生産システム・社会システムを提案しています.
森林保全生態学

森林生態系の基本要素である樹木を対象に,天然生の森林群落の生物多様性や群落構造を継続して長期間測定し,さらに,個々の樹木の生育環境を調べることで,森林生態系が維持されるしくみを解明する研究を展開しています.また,絶滅危惧植物や特殊な水分環境で育つ樹木について,水分条件などを制御して栽培し,生理生態的性質を明らかにする研究も行っています.
地球環境気候学

美しい地球の不思議を知ることにワクワクしませんか? 猛暑や冷夏,豪雪や暖冬,異常多雨や干ばつ,北極海氷の減少,地球温暖化.これら地球規模での異常な「気候」がなぜ起こるのでしょう?この「なぜ?」に対する答えを人類はまだ得ていません.この研究室では特に気象学をベースとしてそれを解き明かすことを目標に研究しております.気候力学とグローバル気象学を学び,それを基にして地球規模の気候変動の絡繰りを解くことを目標に,親身に研究指導を行います.
土資源工学

様々な条件下での土の物理・力学的性質,および構造物との相互作用で発揮される諸特性について研究を行っています.具体的には,地すべりや地震による地盤の破壊原因の解明,アンカー斜面の健全度評価手法の確立,老朽ため池改修手法の検討,砕石および杭基礎と土との相互作用の解明,フェローセメントやリサイクル材の有効利用などで,人間生活にとって不可欠な土資源の安全性,有効性,可能性について考えています.
システム設計学

人類が他の生物と共生しながら持続的発展を図るためには,人工物や人工システムが自然環境に与える悪影響を最小限に抑えなければなりません.本研究室では,基礎理論や情報技術を活用して,人工物や人工システムの最適化及び低環境負荷化に関する基礎・応用について研究を行っています.研究例として,(1) 養殖魚の自発摂餌システムの研究,(2)生物生産のための知能ロボットシステムの研究,(3)生産プラント設備の状態監視・診断の研究など.
海洋気候学

今日大気中の二酸化炭素などの増加で気温が上昇し,いろいろな異常気象海洋現象が生じています.この研究室では,関連する気候変動や海洋大循環の流速,水温,塩分,密度などの変化を調べています.手法には,写真のような三重大の船による直接海洋観測とその結果の解析,コンピュータを用いた数値モデル実験,気象庁や水産庁などに蓄えられた長期観測データの解析などがあります.大切な地球環境を守るため,皆さん,いっしょに海洋のいろいろを調べましょう.
水資源工学

世界の3分の1の人々は慢性的な水不足に苦しんでおり,健康,農業,経済発展などが脅かされています.この研究室では,水の循環の各要素(たとえば降雨や気温など)を自分たちの手で測ります。そして、人にやさしい自然と調和した水環境を創造して維持する方法を考えます.たとえば,水環境調査,雨水流出解析,沿岸域環境の修復,水質汚染機構の解明,栄養塩類の低減方法,沿岸水質の河川感潮域に及ぼす影響などがテーマです.
生物環境制御学

ランプ,培養液,ウレタンマットを用いて,サラダ菜やホウレンソウといった葉茎菜,ニンジンなどの根菜類を,人工的に栽培する技術について研究を行っています.最近では,LEDランプやクラシック音楽を使った植物栽培技術についての研究も開始しました.長年の植物栽培作業を通して獲得した作業効率化のためのノウハウを利用して作業者を手助けする,知的な作業機械を開発する技術についても研究を行っています.
森林環境砂防学

自然的・社会的に変動する山地流域,とくに蒸廃した森林流域の修復と保全をめざします.そのため,流域内の水の流出・循環や土砂の崩壊・移動・堆積現象を把握し,土石流・地すべり・崩壊という地表変動現象の視点から研究をすすめ,減災に役立てます.研究成果を,国内やアジア圏などで問題となっている乱伐後の荒廃森林環境と流域の修復,地球温暖化による豪雨や突発的な地震や噴火などによる土砂害の減災のために活かします.
水域環境学

主に水に関わる環境,自然災害の研究をする研究室です.豪雨・洪水だけでなく,地震や津波のメカニズム(最近特に力を入れています)も研究しています.教員が3人いるので,やっていることは多岐にわたっています.宇宙気候学という新しい分野の研究や,雨や河川水の水質の計測,土壌中の熱や汚染物質の移動の解析もしています.農業のIT化の研究もやっています.高校の科目で言えば,物理,地学(地球科学),数学,化学情報が対応します.
流域保全学

地形・土壌・水・植物・動物・人間活動等を包括する流域資源について,保全・維持・管理・評価・修復システムの開発および利用に関する研究を行っています.研究課題には「流域保全,土壌構造,劣化した土壌と不毛地,農地農村整備」などがあります.授業では「学生自身が思考すること」を強調しています.研究室の学生達は,深く物事を調べ,考え,理を極め,明確にする作業を進めながら,「研究,科学,技術,人間の思考,アイデア,創造」を学んでいます.
エネルギー利用工学

本研究室では,化石燃料に代わる再生可能な太陽エネルギーや風力エネルギーの発電システムの開発と複合利用に関する研究,堆肥発酵熱を利用した発電システムの研究を行っています.また海藻や植物のわら等のバイオマスを利用した環境に優しい生分解可能なバイオマス材料の開発研究を行っています.さらにオフロード車両の高効率化や低環境負荷型食料生産システムの機械化・自動化・最適化に関する理論と技術について研究しています.
森林環境資源利用学

わが国の約70%が森林です.この広大な森林は,重要な資源であり,また生物の生息・生育域でもあります.森林の持続的な利用と適切な管理を目指して,現地調査を行い,また数理モデル,リモートセンシング,GISなどを活用し,森林利用学,森林情報学的手法によって「木材生産作業の低コスト化」,「森林ボランティアの活動支援」,「森林内でのレクリェーション活動などによる癒しの効果」,また「森林の広域的な分布・動態・機能の解明」などについて研究を行っています.
緑環境計画学

森林などの生態系機能評価を基礎に,森林生態系や生物多様性の保全に配慮した森林計画の作成手法について研究しています.樹木個体や集団の継続調査を行い,森林などの陸上生態系の環境応答の評価とその手法開発,乾燥地植物の光合成と水利用に関する戦略の解明,また熱帯林など,世界の森林資源の適正な管理,「持続可能な森林経営」を目指して,基準・指標作り,森林認証,住民参加型森林管理などの観点から研究しています.
環境施設工学

この研究分野は,農業用水に関わる水利施設の設計,施工,維持管理および建設材料などについて研究しています.コンクリートと土は建設材料として最も多く用いられる材料ですが,我々の研究室ではこれらの材料や構造物を研究対象にして実験や解析などを行っています.現在はコンクリート構造物の健全性を調べる検査方法の研究,環境に配慮したコンクリートの利用方法,構造物の破壊に至る地盤と構造物の相互作用などについて研究しています.
木質資源環境工学

木材は古来から利用されてきた私達の生活に密着した欠かせない材料です.木材は中空の繊維からできているため,断熱性,調湿性にすぐれ,軽くて強度があり,環境に優しく,かつ光合成により永続的に再生産可能な理想的な材料でもあります.本研究室は,木材の特徴を生かして工学的に種々の変換を加えることにより,住宅などの構造材料や屋内外環境形成素材として有効に利用するための理論と技術について研究しています.
環境解析学

地球は様々な景観に覆われています.それは,その場所の自然環境と人間とが,数千年以上の長い時間をかけて作り上げてきたものです.景観には,場所の特徴がはっきりと表れます.景観は,ある場所に生息する生物個体の分布や数に影響するという科学的な側面と快適さや美しさに影響する審美的な側面の両面を持っています.研究室では景観を切り口に,場所に関係する様々な環境的課題を調査し,GIS(地理情報システム)等の技術を用いて場所との関係を研究しています.
国際環境保全学

廃棄物の再利用によって地域の環境改善を目指しています。現地調査、土木学・工学的実験をベースにした、1)環境保全を考慮した新複合材の開発,2)土砂災害の防災手法に関する研究,3)国際環境保全現場における問題と解決策に関する研究、数値解析有限要素法等を利用した地域資源管理の最適条件を探る研究を行っています。
木質分子素材制御学

地球温暖化抑制のために進められているバイオ燃料の利用拡大が,逆に,食糧価格の高騰や熱帯雨林伐採等の問題を引き起こしはじめています.本研究室は,木材を化学的に機能性新素材に変換する世界オンリーワンの技術を武器に,地球生態系を乱さない先進的なバイオマス資源の使い方を提案し,石油に依存しない持続可能な社会の構築を目指しています.
地球システム進化学

私たちは,この地球とともにどう生きていけばよいのでしょう?地球温暖化,エネルギー,環境問題など,現在の地球には重要な人類的課題が山積みです.自分たちが生きていく社会に展望をもつためには,人間を要素とする地球をシステムとして理解し,個々の自治体レベルでの「持続可能な社会」の姿を具体的に明らかにしていくことが必要です.この研究室で,地球をシステムとしてとらえる自然観,持続可能な社会・自然エネルギー社会への具体的なビジョンをいっしょに学んでみませんか?