安全でおいしい食料の生産を目指した最新の農業生物学を研究しています。
生物資源学部では平成27年度から、資源循環学科、共生環境学科、生物圏生命科学科の3学科体制のもと、専門分野を再構成しました。
陸圏生物生産学講座の教育研究分野
分子遺伝育種学

育種とは、人間にとって望ましい方向へ生物の遺伝的性質を改変する技術であり、品種改良と言い換えることもできます。私たちの研究室では、植物の育種にとって重要な生殖機構(自家不和合性)、種子形質、病害抵抗性などについて、DNAやゲノムレベルで研究を行っています。また、植物への遺伝子導入技術の開発を行い、育種に有用な遺伝子の機能解明や遺伝子組換え植物の作出を進めています。
資源作物学

人間は衣・食・住を基礎とした人間らしい生活を実現するために必要な資源を農林水産業により持続的に生産しています。そのうち、食糧となる食用作物や工業原料となる工芸作物などの資源作物について、それぞれの特性を明らかにし、有効な栽培・利用方法をみいだそうとする学問が資源作物学です。三重県特産品のイセイモ、ダイズ、水稲などの新品種育成や環境保全型農業生産技術の開発を通して地域の農業に貢献しています。
園芸植物機能学

果樹類の受精・着果能力、野菜類の温度ストレスをはじめとする各種環境ストレス耐性力など、有用園芸植物がもつ様々な機能を、主として生理・生化学的手法を用いて研究しています。また、応用的な立場から、機能性成分が高まるような栽培方法を工夫し、高品質な果物・野菜を効率よく生産する技術、例えば高糖果実生産技術や植物工場の環境制御最適化技術の開発に関する研究を併せて行っています。
動物生産学

ウシ・ブタ・ニワトリの作る肉・牛乳・卵を食べることで、人は良質のたんぱく質を摂ることができます。私たちの研究室では「動物のホルモン分泌」や「工サの消化に重要な微生物」について調べることで、動物の生産性を高めるための基礎的な研究を行っています。動物の生産性を高めることができれば、より少ない工サで動物を飼うことができるので、食料問題や環境問題の解決につながります。
植物感染学

植物に病気をおこす微生物(おもに糸状菌、かび)が私たちの研究対象です。これらは農業や林業をするうえで有害な微生物ですが、一方で植物と微生物という異なる生物間の関係を研究することは興味深いことです。私たちは植物の病気による被害を少なくするため、植物の病気の診断とその原因微生物の分類の研究をしています。また、植物寄生菌と植物との関係について、生物進化、生物系統地理、生物多様性などの視点から研究しています。
昆虫生態学

私たちの目標は、害虫の防除、有用昆虫の利用、昆虫群集の保全のための知識をおもに生態学・行動学・進化学的に深めることです。テーマとして基礎から応用研究まで幅広く扱っていますが、どちらかといえば、基礎研究が中心です。現在研究している主要な昆虫は、ウンカ(稲の重要害虫)、カマバチ(ウンカの寄生蜂、子殺しを行う)、社会性ハチ類、小甲虫(果樹などの花粉媒介者)、カメムシ類(害虫として、ただの虫として)です。