研究テーマ
研究テーマ
2021
キノコやカビと呼ばれる菌類(真菌類)は食品や医薬品の原材料として、また農作物の病原菌として我々の生活に密接にかかわっています。それだけではなく、人類を含む多くの動植物が生きる陸上生態系において、菌類は共生者・寄生者・分解者として重要な役割を果たしています。生物資源としても生態的機能群としても重要な菌類ですが、推定種数150万の多様性のうち、我々はたった1割程度しか知り得ていません。
植物病理学は植物の病気を対象とする学問分野です.植物の病気を診断し防除を考えていくうえで、個々の病気の原因となる微生物(多くが真菌類)について知ることは重要な第一歩となります。病原菌を正確に同定するための分類学的知見や、菌が病気を引き起こすに至った生態学的メカニズムに関する理解を深めていくことにより,正確な診断や効果的な防除が達成されるのです。ところが、植物病原菌の種多様性や生態についてはほとんどわかっておらず、未知の病害が突然発生することも珍しくはありません。当研究室では、植物病原菌や内生菌,木材腐朽菌など様々な生態群にまたがる菌類を対象に,これらの未知の種多様性や生態の解明を目指して研究しています。
研究テーマ1: 真菌類の多様性と生態
連絡先:三重大学大学院生物資源学研究科/生物資源学部
植物医科学研究室
514-8507 三重県津市栗真町屋町1577
e-mail: chiharu#bio.mie-u.ac.jp (#は@に変えてください)
Cercospora属菌は、やはり、農作物や林木、野生植物に対して重大な被害をもたらす植物寄生菌で、日本だけで約300種が分布しています。これらの菌類は分類学上、さまざまな問題を抱えており、その位置づけが決まらないために病害防除や遺伝資源としての利用が進まない状況です。まずはこれらの菌類の分布や分類学的な位置を明らかにし、重大な被害をもたらす病害に関しては病原性や防除法の検討までを行っています。また、これらの菌類のDNAのもつ情報はまだ十分に検討されておらず、これらの情報を得て、分類・診断・防除に役立てようとしています。
研究テーマ2: Cercosporaとその関連属菌の分類学・植物病理学的研究
植物病原菌の分類学研究ではアジアの拠点を目指します。
私たちの研究室では大きく二つの研究テーマにそって、世界中の共同研究者とともに、研究に取り組んでいます。
白水教員個人ページ
研究テーマ3: 高度な分類学的知見を応用した病害診断技術の開発
上記の様な、分類学的知見を応用して、植物病原菌の特定の農薬抵抗性系統を検出する研究や、特定の植物病原菌を様々な分類レベル(属、種群、種、レース)で検出できる実験系を作成し、病害診断や防除の現場へ還元するための研究を行っています。