未同定菌根菌によってモミの根に形成された外生菌根
通常、細根には根毛がありそこを通して養水分の吸収が行なわれていると思われがちである。しかしながら、マツ科やブナ科など実際に森を構成する多くの樹木は、外生菌根菌とともにこうした外生菌根を形成しているのが普通である。
菌根菌の役割は樹木の根系に生息する菌類のページを参照して下さい。

外生菌根の研究をするにあたって必読書

菌根は植物と植物と菌の相互関係によって構築される共生体です.そのため,植物側,菌側の基礎的知見が必要となり,勉強が大変ですね.関係する植物はコケ,シダ,草本,木本など様々ですが,研究分野ごとにどの分類群を対象にするのかはだいたい決まってきます(例:農学,農芸化学系は草本類,森林系は木本系).関係する菌はきのこを作る担子菌類,子嚢菌類,グロメロ菌類などです.
 日本の森林の中で人によって植えられたスギ,ヒノキには,グロメロ菌門によるアーバスキュラー菌根が形成されます.しかし世界的な視点では,北米のダグラスモミ,ヨーロッパのヨーロッパアカマツ,ドイツトウヒ,オーストラリアのユーカリの仲間とそれらがいずれも担子菌類,子嚢菌類によって外生菌根が形成されます.日本の天然性林や二次林でみられるブナ科,マツ科の樹木には外生菌根が形成されます.そのため,国内の情報を海外のものと比べるためには,どの樹種に関することかをまず知ることから始めなければなりません.

小川眞(1980)菌を通して森を見る,279p,創文,東京(菌根に限らず森の土壌微生物に関して書かれています)

金子繁・佐橋憲生(1998)ブナ林をはぐくむ菌類,229p,文一総合出版,東京(菌根菌の話が分かりやすく書かれています)

二井一禎・肘井直樹(2000)森林微生物生態学,322p,朝倉書店,東京(ちょっと難しいですが,菌根に限らず,生物間相互関係の多くの事例が要領よくまとめられています)

Mycorrhizas: Anatomy and Cell Biology (2004). 初学者向けです.イラストや写真が数多く用いられており,各菌根タイプの特徴が視覚的に理解できるようになっています.英語の勉強にもなります

Mycorrhizal symbiosis 3rd ed (2009) 菌根の教科書です.引用文献も網羅的になされており,これまでの菌根研究を概観するのに概観するのに優れています.


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