2012年11月20日更新
立花研究室(地球環境気候学研究室:気象学)のホームページへ戻る
自分や共著者の論文に関する覚え書きのページへ
研究内容の詳細ページへ
研究室の学生webページへ

立花義裕(三重大学大学院生物資源学研究科)


Otomi, Y., Y. Tachibana, and T. Nakamura, A possible cause of the AO polarity reversal from winter to summer in 2010 and its relation to hemispheric extreme summer weather, Climate Dynamics,38, DOI 10.1007/s00382-012-1386-0, 2012


この論文のうんちく話

 この研究を開始したのは、大富さんが4年生の時の夏(2010年)でした。僕らの研究室では、だいたい夏ちょっと前頃から本格的に卒業研究を開始するのが普通です(もっと早くから手がける学生もいます)。この年は7月上旬からあまりにも暑い日々が続いて、元々厚さに弱い僕はふらふらの日々でした。大富さんも暑さにめっぽう弱い学生でした。一方で、7月から北極振動指数の異常が続いていることにも気がついていました。暑さの直接的原因はこれではないか?というのは北極振動指数をほぼ毎日計算してそのグラフを見ているので、すぐに気がつきました。二人とも暑さにめっぽう弱いので、暑さの原因が分かれば少しは気を紛らわせることができるし、理由がわかればすこしは安心すると思って、2010年猛暑研究をやりましょう!といった感じで自然に研究テーマが決まっていった気がします。そしてヨーロッパロシアでも猛暑となり世界的な現象なので、これは時事ネタとしても速報論文を仕上げる価値がある。と思いました。

 一方、夏の北極振動とブロッキング高気圧の関係についての論文をこの年の2年前頃に執筆開始し、その論文が丁度出版された頃が2010年夏でした。なのでその既発表論文で主張したことと2010年の猛暑の類似性を調べることでその既発表論文で主張したことが現実におこったことを再確認するためにも良いことだと思いました。

 またこの夏の高緯度全体のの大気の流れが冷夏であった2003年のパターンと酷似していたことにもすぐに気がつきました。2003年の冷夏についても既に別論文で発表済みでしたので。僕は酷似しているのにもかかわらず方や猛暑、此方冷夏といある違いをもたらしたのは何か?にも興味があったのですが、大富さんの研究はそれとはちょっと違う方向へと進みました。

 半年前の2010年の冬の北極振動指数が約30年前以来の異常値であったことは、この時点ではすでに知られていて、諸外国の研究者による速報論文も出ていました。約30年前の冬とは1977年の冬のことです。あまりにも異常な気象状態が地球規模で持続的におこった場合、それがきっかけで大気の大規模な準定常的な流れのパターンがまったく別の準定常状態へ変わるのではないかという妄想を持っていました(いまもそう思ってます)。有名なローレンツのカオスの研究から得たアイデアです。実際、1970年代に地球の気候(特に海洋)が大きく変わったという論文はたくさんあります。2010年冬が1977年以来の異常であったので、「何か」がきっとあるに違いない。と思っていました。1977年、僕はその時は子供でした。その年は僕の記憶の中でも一番寒く、我が家のセントラルヒーティングの暖房の配管が凍って、破壊されてしまい、水浸しになりました。新築して間もなかった家だったので、業者がタダで直してくれた記憶があります。(続きは、時間があるときにまた、書きます)


関連論文


地球環境気候学研究室(気象学)のホームページへ戻る
自分や共著者の論文に関する覚え書きのページへ
研究内容の詳細ページへ
研究室の学生webページへ