淘汰型円形土 (sorted-circles)



 土が凍結すると、凍上により土壌は鉛直上向きに持ち上げられます。また、こうした土が融解すると、今度は土壌は下向きに移動することになります。このとき土粒子の大きさや土質の違い、凍結の仕方の違いなどによって土壌の移動の仕方が異なるため、また局所的な水の移動や重力によって、土壌は激しくかき混ぜられることになります。こうした土壌の凍結融解による撹乱作用はcyoturbationと呼ばれ、火山灰層や泥炭層など凍上性の高い土壌で顕著に見られます。
 ところで、種々の大きさの粒子を混入した容器を何度も揺すっていると、大きな粒子が上方へ(小さな粒子は下方へ)移動してくるといった現象を見たことがあると思います(ウォールナッツ効果)。土壌でも、凍結撹乱作用によって同様の現象が生じ、結果として比較的大きな石が地表近くに集まります。このとき集められた石が織りなす模様が円形ならば淘汰型円形土、多角形ならば淘汰型多角形土と呼ばれます。


 写真上は、James Ross・南極でみられた淘汰型円形土(1998年2月2日)。円形を縁取っている灰色っぽい所は直径数cm以上の角張った礫(平板に近い)からなり、中央部は表面は砂質だが内部はシルト質土からなっていました。写真を観察したlinkと呼ばれる台地では、撮影時期に日々の土壌の凍結融解が激しく、構造土中央部ではアイスレンズ が顕著に出現消失を繰り返していました。写真下は、土壌凍結が進んだ朝、構造土中央部を引きはがしその内部を削ってみた様子。内部の白い線はアイスレンズです。



戻る