気象を学べる三重大学

気象に興味を持つ高校生へ -気象学・気候学への誘い-

    《気象観測してみない?》地球の謎を観測船に乗って直接視てみよう

研究室紹介動画(2012年度版) image
研究室紹介動画(2014年度版) image
研究室紹介動画(2019年度版) image
研究室紹介動画(2021年度版) image
研究室紹介動画(2022年度版) image

気象学関連の研究室が複数あって、気象が本格的に学べる学部学科が完備されている大学は少数です。
ここ東海地域では , 「三重大学」だけにしか存在しません『大学でしたいこと』, それが気象や気候であるなら, 迷うことなく 『三重大学・生物資源学部・共生環境学科』です 。
気象の不思議を知るってワクワクするぞ!


三重テレビ生放送出演[Mieライブ]:気象らぼコーナーのYouTube
・史上最高の暖冬だった2019/20冬.今年の夏はどうなる?2020年4月放送(こちら)
・どうして日本に梅雨があるのか? 2020年6月放送(こちら)
・地球温暖化で梅雨末期の豪雨が激甚化!なぜ豪雨が増える?2020年7月放送(こちら)
・2020年 夏の気象 徹底検証!2020年9月放送(こちら)
・台風の進路はどう決まる?2020年10月放送(こちら) new

三重テレビ「異常気象の謎を解け」で研究室の様子が紹介(YouTubeはこちら)

「ブルーバックス」記事に当研究室が掲載.気象学の魅力が..(こちら)(講談社のサイト)

研究室の学生webページ(こちら
研究室の学生ブログ(こちら
気象力俳句集(気象学の魅力を俳句に)(こちら
2019年8月 某台風接近時,某番組に生出演(こちら)
学科内の気象・気候関係の研究室と講義科目一覧(こちら)
三重大学で気象・気候を学び研究をすることのメリット
立花義裕 (三重大学 生物資源学部 共生環境学科 地球環境学コース)
2019年9月22日 更新

日本を代表する一流の研究者を有し,気象・気候系の拠点大学の一つ

地方大学の同一組織内では(おそらく)日本一の気象・気候系の教員数です.気象・気候系の講義・ゼミの充実度も高いです.また,教員の学問的レベルも高いです.教授陣の研究力を調べる一つの指標に,科学研究費補助金(科研費)の獲得数というのがあります.大型の科研費となると研究者の質が高くないと採択されにくいのです.私(立花)を含め何人かの教員は比較的大型の科研費にしばしばく採択されていますので,それが研究レベルの高さを示す客観的な証拠といえます.研究レベルが高いところで学ぶ方がいいに決まっていますよね.大学選びに入試偏差値を用いる高校生が多いと思いますが,大学の入試偏差値の高低と,そこの教員の研究の質は比例していません.偏差値が高くても科研費にあまり採択されていないところも結構あるのです.大学選びに科研費の採択状況を考えるようになれば,偏差値一辺倒で大学選ぶ時代が終わるかもしれません.当学科(当コース)の偏差値は旧帝大よりも低いですが,科研費などの研究力を尺度とすれば,地方大学の中ではピカイチであり,気象・気候系の大学の一拠点大学であると自負します.旧帝大に引けを取らないと言っても過言ではないです.当研究室の科研費採択歴や各教員の科研費採択数を調べる方法などについては,別ページ(研究内容ページ)に載せていますので,そちらもご覧ください. 

大気・海洋・水文・陸水・土壌・森林・植生の専門家が一つにコンパクトにまとまっている

気候研究では、大気だけではなく、海洋・陸上植生・雪氷・土壌など地球のいろいろなことを学ばなければなりません。大規模大学では、それらの分野は違った学部で学びます。同じ大学でも学部間の交流は非常に少ないので、別の大学のようなものです。これは大規模大学のデメリットです。他大学の地球科学系の組織は,固体地球系がメインで,気象・気候系研究者が少数派な組織がほとんどです.その点、三重大学の地球環境学講座は、気象・海洋・陸上植生・土壌の専門家が小さきながらも一つの小集団で構成しており、気候を学びそして研究するためには、日本の中でも最も充実した環境にあると思います。

練習船勢水丸を使って気象観測ができる

image 日本で練習船を持っている大学は数少ないです。そのなかで船舶上の気象観測に力を入れている大学はもっと少ないです。気象観測をメインとした実習や研究航海を毎年実施しているところは他大学には無いと思います。しかも数年前に勢水丸は新しく造られました。最新の気象測器がついています。ラジオゾンデ放球による海洋上での高層気象観測も毎年やっています。大気と海洋の相互の作用関係を観測するには日本で一番の大学だと思います。

複数のラジオゾンデ同時放球による高層気象観測が可能

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三重大学ではラジオゾンデ受信システムを8台所有しています。ラジオゾンデとはバルーンに気象測器をつけて空に飛ばすシステムのことです。一つの研究室でこれだけの数の受信システムを持っているところは世界で三重大学だけです。それを縦横無尽に放球し、未解明の空の様子を測りませんか?台風の目の近くでラジオゾンデを1時間おきに連続的に放球したこともあります。これなどは世界初の観測です。

計算機やプログラミング、そしてlinuxに強くなる

気象学・気候学は計算機を使う学問のように感じないかもしれませんが、実はメチャ使います。気象のシミュレーション、世界中の大量の気象データの解析などを行うので、計算機をバンバン使います。流行のビッグデータを使って研究するということになりますね.計算ではwindowsは使いません。linuxを使います。また限られた予算で最大限の計算効率を上げるために計算機や大容量のRAIDシステムを自作する事もあります。それらの管理も僕らでやりますので、計算機にメチャ詳しくなって卒業する学生が多いです。それが実は社会に出てからかなり役立ちます. 


中京圏や関西圏と意外と近い三重大学

image これは、研究のメリットではありません。交通のメリットです。三重大学は近鉄江戸橋駅から徒歩圏です。近鉄津駅からも徒歩で20分程度です。鉄道駅から徒歩圏であることは、遠くからでも意外と通えちゃうというメリットがあります。名古屋から通学している学生がたくさんいます。しかも近鉄の学生定期券は格安です。実は大阪難波からも意外と近いです。さすがに通学は無理ですが、難波から津駅まで近鉄特急火の鳥やアーバンライナー最速80分代です。近鉄大阪線沿線にお住まいなら、もっと近く感じる事と思います。また、奈良県とは名阪国道を使えば、1時間強程度ですし、新名神高速を使えば京都や滋賀からも1時間強で三重大に到着です。下宿したとしても何かがあればすぐに実家に戻れるという安心感は3.11大震災以降の大学選びでは重要だと感じます。

3年生の時に研究室が決まり2年かけて卒業研究をじっくりとできる

image 理系大学生の最重要イベントは、卒業研究です。4年間学んできたことの集大成です。地球環境学教育コースでは3年生の時に研究室が決まります。2年かけてじっくりと卒業研究のテーマを決めて研究します。自分で観測したデータを用いて研究をすることもあります。多くの他大学では4年生になるときに研究室が決まります。そのころは就職活動まっただ中です。まともに研究を開始できるのは就職が決まってからでしょう。また、大学院進学を目指す学生は、大学院試験が終わるまでは、心が研究の方を向かない傾向にあります。また、最近は卒論軽視の大学が増えています。

所属研究室の決定プロセスは、成績順では決めていない

高校生にとって、研究室とは何?と思われるかもしれません。大学1、2年では、同じ学科の学生はほぼ同じ講義を受けますが、卒業研究を始める際に所属する研究室が決まります。研究室が決まった後の生活は一変します。研究室の行事中心の生活になります。大学によっては、研究室がきまるプロセスが、成績順に決まるところもあります。すべての研究室の学生数を同じ人数とするために、各研究室の定員が厳格に守られている大学もあります。その場合、もし、希望の研究室に入れなかった場合はその学生はどうなるでしょう?我々の地球環境学教育コースは成績順位に希望者を割り振るようなことはしていません。そのかわり人気の研究室は人数が多くなってしまうというデメリットもありますが、学生の希望が第一です。

卒業研究を学会発表ができるレベルになるよう指導する

研究で得た新知見。当然その知識を誰かに話したくなるでしょう。だってそれを知っているのは人類で自分たちだけなのですから。それが学会の場での発表です。僕らの研究室の学生達は、修士1年目の春に学会発表デビューをします。2年かけてじっくりと卒業研究のテーマを決めて、研究を行うからこそ、卒業研究をそのまま学会発表のレベルまでもってゆくことが出来るのだと思います。他大学では、修士の2年の秋での学会発表デビューが多いです。学部生ながら気象学会中部支部で発表し,支部長賞を取った学生も過去に在籍していました.

学会発表等の講演経験を積むことでプレゼン能力が磨かれる

僕らの研究室の学生は、学会はもとより、様々な国内の研究集会、シンポジウムなどで、自己の研究成果を発表することになっています。最初はたじたじだった学生も回を重ねるにつれて自分の研究を他大学の研究者達の前で堂々と話すことができるようにまでに鍛えられます。おもしろいくらい学生は成長します。修士に進学した学生なら、最低でも4回程度は発表します。鍛えられたこのプレゼン能力は将来どのような進路を選ぶにせよ役立ちます。人前で堂々と話すことができないと就職してから苦労します。これは他大学でなかなか得られない僕らの研究室の特色です。

卒論等の研究テーマは学生の希望テーマを最重視

これは重要な事です。卒業研究のテーマや、修士論文のテーマを指導教員から勝手に決められてしまうところも結構あります。例えば、まだ研究室が決まる前から次年度の入学学生の研究テーマが決まっているところもあるくらいです。僕(地球システム講座の他の先生も)の研究室では、学生の自主性をなるべく尊重し、学生がやりたい研究をなるべくかなえる方向で研究テーマを決めるようにしています。気象・気候に関係するテーマであって、僕が面倒を見ることが可能なテーマであれば、どんなテーマでも、それが研究としての価値があると判断できれば、okです。

学部教育と大学院教育が一体化しているため、修士課程進学者は4年間かけて、じっくりと研究が出来る

旧帝大(東京大学などの明治時代にできた国立大学)では特に学部教育機関と大学院の教育機関が別となっているところが多いです。大学院進学者は同じ大学の大学院に進学する場合であっても指導教員が変わることがよくあります。指導教員が変わると研究テーマも変わってしまいます。せっかく卒業研究で頑張ってきたテーマを継続して研究できなくなります。僕らの大学は「煙突形」という組織で、学部教育・修士過程の研究・博士課程研究がシームレスにつながっています。なので、学部3年時に始めた研究を修士課程の2年間を加え4年間かけて、じっくりと腰を据えて研究ができます。実は「煙突形」の学部と大学院組織を持った大学は非常に少ないのです。近隣の国立大学と比べてみてください。

さらに博士課程までも一体化し継続的である

大学入学前の高校生にとってみれば、なんの事かがわかりにくいでしょう。大学とは4年間の学部教育期間、大学院進学後の修士期間、そしてさらに博士号取得のための博士課程があります。三重大ではそれらが、すべて「煙突形」でつながっているということです。一見当たり前のように思えるでしょうが、多くの大学では、学部の組織と、大学院修士課程の組織と、博士課程の組織が複雑になっていて、同じ大学の大学院に進学しても校舎やキャンパスを変えなければならない場合もあります。修士課程と博士課程が異なる組織となっている大学もあります。国立大学でも博士課程が無い大学もたくさんあります。昔は他の多くの大学も「煙突形」だったのですが、研究組織の都合で(学生目線ではない都合)変わってきてしまいました。研究者を目指すときに、学部の組織と、大学院修士の組織と博士課程の組織が異なっているということは、学生に回り道を強いることにもなりかねません。高校までの教育では、中高一貫教育や小中高一貫教育のメリットが重視されつつあることからもわかるように、学部+修士+博士一貫教育のメリットは絶大です。

博士取得要件が明示されている

これも高校生にとってみれば、なんの事かがわかりにくいでしょう。大学を卒業することは、入学と同時にほぼ約束されています。大学の先生も学部4年生の卒論には甘いのです。しかし修士論文審査は厳しいです。さらに博士審査は桁違いに厳しいです。それまで甘かった先生も急に厳しくなります。その厳しさが、指導の先生のさじ加減で大きく変わります。そのルールが組織として明示されているのが我々の大学院です。我々の大学院では、その分野で認められた出版物に論文が2編あることが博士取得の最低基準となっています。ところがそれを明示していない大学が多数あります。公開論文がゼロでも博士をもらえる場合もあれば、沢山の論文を書いても博士を取得するレールに乗せてくれない場合もあります。同じ指導教員で相手学生によって基準を変える先生もいます。基準が明示されていない大学の場合、学生たちは目標を定めにくくなるデメリットが生じます。


気象・気候研究の重要性
立花義裕 (三重大学 生物資源学部 共生環境学科 地球環境学コース)
2020年7月28日 更新

気象と気候

猛暑や冷夏、寒波や豪雪や暖冬、豪雨や干ばつ、北極の海氷の減少、地球温暖化。これら「異常気象」や気候の異常がなぜ起こるのか?気候は、海洋・陸水・気象が融合した「複雑系」として変動するのです。気候とは、様々な気候サブシステムが複雑に絡み合った系の平均的な状態です.大気・海洋・陸水・植生・雪氷など全てが気候サブシステムです。生物資源学部ではそれらサブシステムのほとんどを学ぶことができます.地球の気候システムの長期変動の絡繰りや仕組みを解明・理解することで、地球における気候システムの長期変動の予測制度が向上するのです.
研究室ではその中でも「大気」を中心として研究を行っています。なぜなら大気は気候変動の主役であり、人類が最も影響を受ける気候サブシステムの一つであるからです。ダイナミックに変動する大気は、海洋や陸水、植生、雪氷の変動を駆動し、逆に一方ではそれらから駆動され変動しています。大気を気候の主役と考えた場合、気候変動とは日々の気象の積分値の長期変動であると考えることができます。気象学をベースとして気候変動・気候変化を理解することを中心課題として研究を行っています..

2018年夏の異常な気象:観測史上最高の猛暑災害・西日本豪雨・台風

2018年の夏は,観測史上最高の猛暑でした.多くの方が熱中症などで亡くなりました.これは猛暑災害と言っても過言ではありません.また,7月には西日本豪雨が起こり,これまでの「集中豪雨」とは違い,広域の豪雨が特色でした.また,台風も沢山上陸し,関西空港が高潮で水没しました.さて,これらの異常な気象は,地球温暖化の影響なのでしょうか?将来の台風や豪雨はどうなるのでしょう?そして未来の猛暑は?
一方,日本を始めとしたアジアで稲作が発達しているのはアジアがモンスーン気候で雨期(梅雨)があるからです。アジアと同程度の緯度のアジア以外の地域は砂漠などの乾燥的な気候帯となっています.アジアにはどうして雨期があるのでしょう.将来の日本の梅雨はどうなるのでしょう?このような問いの答えを探すのが気象学・気候力学なのです.

温暖化時代なのに,豪雪や寒冬が何故頻発するのか

韓国の平昌で開かれた冬季オリンピックの冬(2017-18年)は異常に寒い冬でした。西日本は約30年ぶりの寒い冬となり,北陸では大雪となりました。実は,最近の冬は、「寒冬」が多いです.2017年のセンター試験の日は三重県北部も豪雪となりました.地球温暖化時代にもかかわらず、どうしてこれほどの寒い冬が頻発するるのでしょう?将来の日本の冬はどうなるのでしょう?

多発する「異常な気象」は地球温暖化に伴う「気候危機」か

上述したように,最近は異常気象が起こることが「普通の状態」となっています.これは地球温暖化が一因との報道が良くなされ,これが人類を脅かす「気候危機」と呼ばれ始めてます.危機を脱するためには二酸化炭素をこれ以上増やさないことは自明です.異常気象には地球温暖化がその一因である場合と,地球温暖化とは無関係な異常気象があります.また,両者の相乗効果が作用した異常気象も存在します.我々気象学者はそれら原因を切り分けたり,どのように相乗効果が生じたのかを解明する研究をしています.そしてその研究成果を社会へ発信し,「気候危機」を正しく社会へ発信しなければなりません.人類の未来に役立つ学問の一つが気象学・気候力学なのです.


異常気象や気候変化の「なぜ?」に対する完全な答えを人類はまだ得ていない

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2016年には台風が逆送し,岩手県と北海道に莫大な被害がもたらされ,イモの主産地の北海道の農地が水没しポテトチップが品薄になりました.また,2011年9月の紀伊半島に大災害をもたらした台風12号。台風はどこまで予知できるのでしょう?そして温暖化時代の台風はどうなるのでしょう?猛暑・豪雨台風・豪雪・寒冬など,地球の気象・気候には未解明なことがたくさんあるのです。実は、異常気象や気候の「なぜ?」に対する完全な答えを人類はまだ得ていないのです。

気象で決まった放射能汚染分布

2011年3月11日の大地震以降、日本人の「世界観」、「地球観」が一変しました.爆発した原子力発電所からの放射能の大気中への広がりに全国民が注目しました.放射能は、そのときの風によって運ばれ、主に雨によって地上へと落下しました.そのときの気象によって、最初の「汚染」分布が決定したのです.

懸念される電力不足は猛暑かどうかで決まる

その後の原発停止によって、「もし2011年の夏が猛暑だったら、大停電になるのでは?」と懸念されました。幸い2011年夏は、猛暑にならず、大停電にはならなかったけれど、原発停止が続く今後の夏の天候はどうなるのでしょう?大震災以降、夏の気象に多くの国民が強い関心を持つようになりました。また、実は東北地方北部や北海道の電力使用量は冬が最大で、冬の電力不足も懸念されています。これは暖房を使うからです。ですので冬が豪雪・寒冬になるのか?暖冬になるのかは、重要な問題なのです.

異常気象や気候変動は農業・食糧問題に直結

技術が進化した現代ですら、我々の生活は,毎日の気温,雨や雪,風などに左右されています.気象や気候が変われば、人類だけでなく植物や動物にも影響を与えます.作物の取れ具合なども変わります.日本の米作りの歴史は冷害との戦いでした。1993年の冷夏では、米不足になり緊急輸入しました。2003年の冷夏年も米泥棒や米の買い占めが横行しました。気象庁はかなり古い時期から他の欧米諸国に先駆けて3ヶ月予報や6ヶ月予報等の長期予報を行っています。これは米の豊凶予測への社会からの強い要請があったからです。米は日本人の生きる糧そのものであり,豊凶を予知することは最重要な課題でした。それは世界中から食品が輸入されている現代であっても同じです。三重大学の生物資源学部は、その母体の一部が旧農学部です。農業に興味を持って農学系の学問を学び研究を志す生徒も多いと思います。農業の基盤の一つがその土地の気象・気候なのです。地球温暖化で日本の気候はどうなっゆくのでしょう。農業に興味を持っている生徒は気象・気候からのアプローチも考えてみてください。そのようなメニューがある農学系の大学は希有です.

気象・気候変動と水産資源は大いに関係する

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三重県の南を流れる暖かい黒潮は世界有数の強い海流で、これは地球規模の風が原因で生じています。黒潮と共に回遊する魚もたくさんいます。黒潮は数年に一度大きく蛇行します。蛇行すると魚の生息場所も大きく変わります。また海水温が変化しても魚たちの生息場所や数が変わります。海上での大気の流れや海上の気温が変われば海流も海水温も変わります.そして海洋の生き物もそれに影響を受けるでしょう.気象の長期の変化とイワシなどの水産資源は関係が深いことが知られています。また伊勢湾などの内海は河川からの流入の影響によってその水質や塩分が変わります。河川流量が増えれば伊勢湾の塩分は下がります。つまり雨が多いか少ないか、という気象によって沿岸の海洋環境が変わるのです。気候が変わると水産資源に影響があるのです. 三重大学の生物資源学部は、その母体の一部が旧水産学部です。海洋に興味を持って水産系の学問を学び研究を志す生徒も多いと思います。気候変動に水産資源は大きく影響をうけるかもしれません。地球温暖化で日本周辺の海流や水産資源はどうなっゆくのでしょう。水産に興味を持っている生徒は気象・気候からのアプローチも考えてみてください. そのようなメニューがある水産系の大学は希有です。

異常気象や気候変動は人類の歴史を変えてきた

異常気象や気候の変化は,人類の歴史をも変えてきました.異常気象や,気候変動が誘因で歴史が大きく動いた史実は無数にあります.気候変動が誘因での戦争.だれもが一つや二つの例を思いつくでしょう.異常気象・気候変動による食糧難が幾多の歴史を転換させてきました。気候は人類の歴史を変える.これは間違いない事実です.実はあまり知られていませんが、敗戦の昭和20年は、異常気象の年でした。これは偶然の一致でしょうか。気候変動と個々の史実の関係は完全には未解明ですが、その時代時代の政権の弱体、そして崩壊は、多かれ少なかれ食糧問題とそれを引き起こした気候変動がもたらしていると僕は考えます。気候変動が歴史を変える。おもしろい研究分野だともいますよ。歴史学と理科とのドッキングです。気象・気候ではないですが、3.11の大地震は間違いなく日本の歴史を変えると僕は思います。大災害をもたらす自然現象は歴史を変えうるのです.

人類が地球の将来気候を変えてしまう地球温暖化問題

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いま人類は地球の気候を変えようとしているのです.それが地球温暖化問題です.人間の影響がなくても未解明だらけの地球なのです.それを人類がいじくっているのです.ただでさえ予測困難な未来の地球を人間がもっともっと複雑にしているのです。地球環境や地球の気候の将来がどうなるのか?その予測のためには地球の気候システムを理解することが最重要です。気候システムとは、大気・海洋・雪氷・森林などの植生・土壌・陸水などの気候に関連するサブシステムのことです。大気は他の気候サブシステムと接しており、且つそれは地球を巡っているので、すべての気候サブシステムの中でもっとも重要なインターフェイスです。人類は大気圏に暮らしているわけですから、大気のこと、つまり気象の事を理解せずに地球温暖化問題を語ることは出来ません。そのような意味で地球環境を本格的に学ぶための不可欠な分野が気象学・気候学なのです。気象・気候を学ばざる者は地球温暖化問題を公で語るべからず。と言っても過言ではありません. 

植生は地球の気候や気象を変える

生物資源学部というネーミングから連想されるのか、植物の生態に興味を持っている高校生が多いと思います。それを研究している人もたくさんおります。地球上の植生分布は、大気の状態、つまり気象・気候が重要です。実は逆に植生が大気や気象・気候にも影響があるのです。例えば森林が無くなると蒸散量が変わります。それによって大気中の水蒸気量も変わりますし、気温も変わります。川の流量も変わります。農業が本格化する前の中国やタイの平野部は昔は森林に覆われていました。いまは大田園地帯です。森林が無かった時代と現在とでは、森林が無くなったことが原因でその地域の気候は気象が違っていたことはもちろん、そこから遠い場所(例えば日本)の気候にも「森林破壊」の影響があったという研究もあります。つまり人工的な植生改変は、地球規模の気候を変えるのです。アマゾンが熱帯雨林気候で、大森林に覆われている理由は、そこが大森林地帯であるからであるという考えもあります。ヨーロッパも産業革命以前から森林破壊が進んでいました。これも遠いアジアの気候に影響があったのかもしれません。自然変動の影響によって植生が変わっても、植生の変化が気候に影響を及ぼすこともあります。このように気象と植生はお互い影響を及ぼし合っているのです。ですので、植物の生態に興味がある生徒は、気象・気候との相互の関係の研究もできます。そのようなメニューがある生物系の大学は希有です。

海洋も気候や気象を変える

生物資源学部には海洋のことを研究する研究室がたくさんあります。ですので、漠然と「海」の研究を三重大でやりたいという高校生も多いことでしょう。海洋生物や海洋化学、海流などに興味を持っている生徒は多いと思います。海が気象や気候に重要な影響を及ぼしているといことが徐々にわかってきました。熱帯の海水温が変化するエルニーニョがおこると異常気象がおこると言うことなどは有名ですね。実は三重県のすぐ南を流れる黒潮が三重県を始めとした日本の気候や気候に影響を及ぼしていることも最近の研究でわかってきました。紀伊半島南部は本州で一番雨が多い場所です。2011年の紀伊半島に大災害をもたらした台風12号。この時の雨も暖かい黒潮からの大量の水蒸気蒸発の影響の寄与が多いと思われます。また、海洋中のある種のプランクトンによって海面の色が変わり、海が吸収する太陽光などの熱エネルギーの収支をかえて、気象に影響を及ぼすという説もあります。海洋生物も気象に影響があるかもしれません。北極海や南極の海の氷、そして日本に近いオホーツク海の海氷も気候や気象に影響があります。北極の海氷が変化すると遠い日本の気象に影響が及ぶという研究もあります。このように気象と海洋はお互い密接に影響を及ぼし合っているのですですので、海洋に興味がある生徒は、気象・気候との相互の関係の研究のアプローチもできます。そのようなメニューがある海洋系の大学は希有です。

気象災害から国民の身を守るため、正しい地球温暖化対策のために気象・気候の専門家の活躍が期待される

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大震災を含む自然災害・気象災害が多発しています。梅雨末期の大雨による災害、台風。竜巻。異常猛暑。冷夏。干ばつ。そして地球温暖化。これらからの「害」を防ぐには、「害」をもたらす自然現象のメカニズムに精通した専門家が、国、地方自治体、農業漁業関係団体、に多数配備されていることが重要であると考えます。小中高等学校の先生にも、一校に最低一名は気象などの地球科学に精通した先生が必要でしょう。台風や豪雨、異常猛暑などの異常な自然現象を我々は制御できません。ですからそれらを大学時代に専門的に学んだ人たちが全国の自治体に配備され、その時々に応じた住民への適切な指示や、日頃の気象関係の住民への教育が、災害を最低限に抑えることができるるのです。また、三重大で気象・気候を学び、国家公務員や政治家も目指して欲しいです。国の方向性や将来を決める立場の人こそ地球の気候変動や地球全体の環境の知識が必要なのです。気象や気候変動によって利益または打撃を受ける産業は多いです。気象予測によって恩恵を受ける分野もおおいです。気象・気候の専門性を生かす職業は多岐に亘っています。それに対して気象が気候を専門に学習研究できる大学はごく少数です。だからこそ、それを学ぶことは希少価値があり、かつ卒業後にそれを生かして活躍する分野は幅広いのです。もちろん、気象学のプロ、つまり気象学者も目指して欲しいです. 




気象・気候研究の醍醐味

高校までの勉強と大学での研究の本質的な違い

理学系の研究室で行われている「研究」と高校までの「勉強」とはその本質が全く違います。研究とは、人類が未だ解き明かしていない謎を解明することや、人類が見つけていない何かを発見することです。高校で「問題を解く」ということは、出題者の先生は答えを知っている問題を解くことを意味します。つまり答えのある問題を素早く間違いなく解く「技術」を問題で問うてます。その出来不出来で人としての「優劣」まで判断されてしまうのが「受験勉強」です。学生も教員も誰も知らないこと、それに挑むのが大学での研究です。そこには、受験勉強のようなの「訓練」では培うことが難しい、他人には思いつかないような発想力と、作業が遅くてもしっかり確実にこなす粘り強さや一つのことに熱中する肉体力が重要となります。

地球の不思議を知るって、ワクワクするぞ!

僕らの研究室では、研究室の学生たちと一丸となって気象・気候の謎の解明に取り組んでおります。そして、新発見をしたときの喜びを学生たちと分かち合った瞬間が、もっとも楽しいときで、もっともワクワクするときです。気象・気候の謎を解くためには、大気だけではなく、海洋・陸上植生・雪氷・土壌など地球のいろいろなことを知らなければなりません。つまり地球や自然のことを広く深くしることになります。そういう意味で、地球が好き、自然が全部好きという人にうってつけの学問分野だと思います。

気象は不思議で複雑でおもしろい!

太陽は夏に強く、冬に弱い。その年サイクルは毎年毎年ほぼ同じです。毎年訪れる冬。寒い冬もあれば、暖冬もあり。夏も同様。太陽という外部からの条件が毎年同じ年サイクルを繰り返しているのに、どうして毎年違った天候になるのでしょうか?答えられますか?不思議でしょう?温室効果が将来強まり、その影響で将来の地球の気候がどうなるかも当然未解明です。みなさんも身近な気象で不思議なことがたくさんあると思います。実はたいていの気象・気候のことがまだまだ未解明なのです。また、気象衛星の雲画像の動画を見ていてその美しさに惚れませんか?まるで生き物のようですね。天気予報がもっと当たるように、一緒にがんばりませんか?予測が当たるためには、現象のメカニズムを理解する必要があります。つまり謎解きをすることが予報精度の改善につながるのです.

気象予報士に合格するかも!

気象予報士は、難しい資格の一つとされています。大学1,2年生レベルの物理学と気象学の理解があれば、一次試験には難なく合格できると思いおます。僕らの研究室でやっているゼミで鍛えられれば二次試験も通るでしょう。昨年は他学科で生物学を研究している4年生が僕の研究室のゼミに自主的に出席し、そこで鍛えられた成果?で見事合格しました。卒業生からウェザーキャスターが生まれることを期待してます。

三重大学で気象・気候を学び研究をすることのデメリット
メリットだけ紹介してデメリットを隠すのはフェアではないと思いますので、デメリットもなるべく隠さずに紹介します。こんなことまで情報を公開している気象学の研究室のweb pageは無いと思います。ただ、僕が思っているデメリットと、学生達が思っているデメリットとは違うとおもいますが。

旧帝大系大学と比較すると気象・気候の教員数が少ない

これは大学の規模が違うので、デメリットです。東京大学や京都大学の足下にも及びません。ただし、ただし、旧帝大以外で気象学に関連する研究室がある全国の大学と比較した場合は、三重大学の地球環境学教育コースでの気象・気候関連の教員数は、他大学よりも多い方です。旧帝大以外の大学の場合は気象の教員が一名のみというところが多いです。旧帝大は気象学の学部教育には力を入れていないところが多く、教員数が多いというメリットを享受するには大学院に進学してからという場合がほとんどです。デメリット欄に書くのも恐縮ですが、三重大学から近い旧帝大の大阪大学には気象学を看板に掲げる講座はありませんし、同様に近場の名古屋大学の「学部」にも気象学の講座はありません。一方で名古屋大学の大学院組織には充実した気象学の研究室がいくつかあります。名古屋大学を選んだ場合は4年間待たないと気象を本格的には学べません。どこの旧帝大に入学しても気象を学べるとは限りません。大学選びの際はご注意を。

教員一人が指導する学生数が多い

これも事実です。僕は、2019年時点で博士課程の大学院生2名、修士課程大学院生5名、学部生6名の、合計13名の研究指導をしています。全国の気象学の研究室では最大レベルの人数だと思います。一般に、旧帝大では教員一人あたりで数名が普通です。指導学生ゼロという教員もいます。学生数が多いと、細部まで面倒を見きれないというデメリットがあります。ただ人数が少ない研究室は逆のデメリットもあって、学生一人に対して指導教員2名というところもあります。面倒見が良すぎて、かえって窮屈になる場合もあります。

三重大学は大都会の大学でははない

都落ちという言葉があるように、これをデメリットと多くの人は思うのでしょう。これをデメリットと感じる人とメリットと感じる人でその人の感性が分かると思います。都会の高校の生徒は、大学生の間は、是非都会を離れて暮らしてみてください。都会が好きなら就職の際にまた都会に戻ればよいでしょう。都会を離れて暮らす経験が一度でもある人は広い視野を持てると思います。世界観が変わります。それは長い人生にとって間違いなくプラスとなります。近鉄特急で大阪まで80分強、名古屋までは45分です。たまに都会の空気を吸いたいと思えば、ほどよい遠さです。逆に、都会に比べ自然が圧倒的に豊かです。伊勢・鳥羽・志摩、熊野古道、伊賀忍者など、自然や歴史を堪能できる地が三重県です。日本一雨が多い紀伊半島で雨を体験したい。雨の影響で地形や動植物に他の地域と違いはないのか?それをこの目で見てみたい。そんな感性の持ち主を期待します。三重県の文化も日本の東西文化の最前線地帯なのででおもしろいです。言語も東と西の丁度境界に位置しています。それを味わえるのは全国で三重大だけだと思います。

地球環境学講座は、単位取得や卒論・修論が厳しい

はい。そのとおりです。大学を楽して卒業しようとしている高校生は、他を選択してください。厳しいということは、しっかりと鍛えると言うことを意味します。立派に育てます。つまり出口保証です。やりたいことが固まっての大学選びなのですから、楽して卒業すると損ですよ。何のために大学に入ったのかがわからないではないですか。入り口が狭き門で、出口がゆるゆるの大学が多いことはよく知られてますね。入り口が狭い大学ほど出口が緩い傾向があります。出口ゆるゆる大学に入って、4年間で、気象をちょろっとつまみ食いするよりも、三重大学に入り、気候・気象研究にどっぷりとつかった充実した4年間を送りませんか?


三重大学で学べる気象・気候関連科目

学部4年間で学べる気象・気候関連科目

大学の公式の案内やシラバスを見ても、気象に関連した講義がどのように展開されているのかが見えにくくなっています。そこで、下記に、地球環境学教育コースの学生が学部4年間で学べる気象関連の科目をピックアップしました。気象・気候に関した講義、観測実習、計算機の実習までを学部4年間で幅広く学べます。これも近隣の他大学にはない三重大のメリットです。

・将来気候予測論(1年前期)(立花義裕 教授・坂本竜彦 教授・飯島慈裕 准教授)
地球の気候や気候変動の仕組みとその未来等についての基礎を学びます.他大学は入学後は教養科目を先ず学び,気象本格的に学ぶのは入学数年後に配置するカリキュラムになっていることが多いのですが,本学科では入学直後に気象や気候そして温暖化等の気候変動の基礎をしっかり学びます.

・グローバル気象学(2年)(西井和晃 准教授・立花義裕 教授)
気象学の基礎を学びます.地球の気候や地球規模の異常気象や大気の大規模な流れ等について学ぶ

・地球規模水循環気象学(2年)(葛葉泰久 教授)
地球の水循環や水環境について学びます.気象から水質まで,「水の脅威と水の有用性」ということを中心テーマに講義

・ローカル気象学(3年)(万田敦昌 准教授・西井和晃 准教授)
気象学の基礎を学ぶグローバル気象学の続編です。気象学の基礎を数式を用いて講義する

・陸海空環境科学実習(3年)(山田二久次 准教授,万田敦昌 准教授・立花義裕 教授,松尾奈緒子 講師)
勢水丸に4泊し黒潮など洋上での気象や海洋物理の観測実習を行う。気球(ラジオゾンデ)観測も行う.三重大演習林での実習も行う。

・フューチャー・アース学(3年)(飯島慈裕 准教授)
地球生命圏で起こりえる変化やその脆弱性・可塑性への分野横断的に学びます。

・リモートセンシング(3年)(飯島慈裕 准教授)
地球環境を視る人工衛星などのデータ解析、地理情報システムについて学びます.

・大気海洋科学(3年)(山田二久次 准教授,立花義裕 教授)
ローカル気象学の続編です.特に海洋の循環をターゲットとして地球流体力学の基礎を学びます.地球の気候にとって重要な海洋、海流などの海の物理学の基礎の講義

・大気海洋循環学(4年)
(立花義裕 教授,万田敦昌 准教授・西井和晃 准教授)
大気海洋科学の続編です.地球流体力学の続編でもあります.海洋と大気の力学(地球流体力学)を学び、エルニーニョ等の海洋と気候の関係を学ぶ


・物理数学系の科目群(担当:葛葉、万田,西井、立花):2年生、気象などを本格的に卒業研究で行うための基礎となる物理数学を8単位ほど。気象学の基礎である流体力学分野も2単位相当を学ぶ

・気象・気候関連の自主ゼミ
上記の他、気象・気候ダイナミクス研究室の学生を中心として他研究室の学生も交えて下記の自主ゼミを行っています。
An Intoroduction to Dynamic Meteorology (気象力学入門)
という気象力学では国際的に定評のある英文教科書の輪読。学部3年生からこの本を読み始めます。週2回ペースで進めてます。「入門」となってますが、学部生にとってはなかなか高度な内容です。このゼミによって学生は鍛えられ、気象の専門家として育っていきます。学部生の期間では最後まで読み終わらないので、大学院生に進学後もこの本を引き続き輪講します。この教科書を3年生から読み始める大学はおそらく三重大の他には無いと思います。

この他に、地球環境システム学プログラムでは、学部2-3年生対象のプログラミングのゼミを講座全体で行っています。気象・気候の研究やそれ以外の分野の研究でも、大量のデータを扱った高度な計算をしなければなりません。既存のソフトウエアでは解析には限界があるので、数値計算に強いプログラミング言語(例えばフォートラン)を覚えてもらいます。それが卒業研究に役立ちます。



気象・気候を三重大学で学び研究するために高校時にやっておいて欲しいこと

高校物理は必須ではないが高校数学は全部習得してください

僕は、数年前までは、「大学で気象を研究するためには高校物理は必修」と思っていました。気象学は、大気の流れや温度を研究する学問なので、熱力学や力学などの物理学を使います。だから必修であることが当然と思っていました。しかし最近その考えが180度変わりました。受験のための高校物理は不要です。暗記の物理は全く必要ありません。もちろん、やって損はありませんので誤解の無いように。それよりも数学をしっかりとやってください。必要な数学は高校3年で習う数学(数学ⅢとC)です。それがしっかりと学習されているなら、物理は必要ありません。大学に入学後にホンモノの物理を学習すれば十分です。大学に入ってから物理に挫折するタイプの学生のほとんどは暗記の物理を高校時に植え付けられた不幸な学生達です。物理に暗記は不要なのです。高校物理がすべての高校生が必修であるとか、生物資源学部の入試で物理学が必修であれば、それを前提として大学の講義をすすめていくことができますが、現実は、物理軽視の高校カリキュラムであり、三重大学入試も物理必修ではありません。大学物理は微分積分を駆使して進めますので数学ⅢとCをが理解していることを前提として進めます。

地理や地学が履修可能なら是非履修してください

image 地理では世界の気候分布や植生分布、海流などを学びます。地学には気象に関係する内容を多く含んでいます。そのように地学や地理学は気象を大学で本格的に学ぶためには必要な分野であると思われますが、僕は以前は、「気象・気候を大学で本格的に学びそして研究するためには、地理や地学を高校で学習する必要な無い」と思っていました。それよりも物理の基礎ををしっかりと学んでおけば、地学や地理の学習は大学入学後からでも全然問題ないと思ってました。しかし高校の理科は選択科目制となり、三重大生物資源の入試では理科は一科目選択で、物理が必修ではないという時代です。その現状を考えると、気象や気候への興味を深めるきっかけとしての地理地学の履修を強くおすすめします。

文系の生徒でも地球環境に興味を持ち高校数学を全部学んでいるのなら大歓迎です

先にも書きましたが、数学ⅢとCをしっかりと学んでいれば、入学後も苦労せずに学びそして研究が出来ます。それは文系理系を問いません。むしろ地球の気候変動問題は、文系的考えと理系的考えの融合によって答えが見つかる分野でもあります。歴史と気候変動に興味のある文系センスの生徒に期待したいです。入学試験に理科はありますが、二次試験の配点を考えれば、センター試験で稼げば合格ラインには十分達することが出来ます。推薦入試もあります。

気象の研究では大型の高速計算機や大型の計算サーバーを駆使しますので、コンピューター好きな生徒に向いています

image 気象のシミュレーションでは、スーパーコンピューターを使います。世界最速の計算機のヘビーユーザーは気象学者です。地球温暖化のシミュレーションもスーパーコンピューターで計算します。また世界中の大量の気象データーを用いた計算も行いますので、100テラバイト規模の大容量の計算サーバーなども使います。それらの計算ではパソコンのレベルを遙かに超えてます。そのような大型のコンピューターを動かしてみたいとか、シミュレーションが好きとか、計算機が大好きという生徒、そしてプログラミングが好きという生徒には実は気象学の研究は向いています。気象の研究室に来てから彼らは初めて、こんなにも計算機のを駆使する分野だったのか。と皆だいたい驚きます。ですから、計算機が好きな生徒は工学部を選ぶのも良いですが、気象学を志すのも手です。

寺田寅彦先生

天災は忘れたときにやってくる」で有名な寺田寅彦先生の随筆の一つ「茶碗の湯」。僕が中学校のときの国語教科書に載っていました。僕は国語が大嫌だったのですが、この話には中学生ながら感動しました。もしかしたらそれが僕の人生(地球科学者になった自分)に影響したのかもしれません。2014年の流体の講義を受講している学生達には講義でこの随筆のコピーを学生に配布しました。2014年の定期考査ではそれを読んでの感想や批判を学生達に書いてもいました。講義では寺田先生の茶碗の湯を応用して、茶碗の湯を回転させました。その動画が(ここ)にあります。ちなみ講義の出席の学生達に聞いたところ、いまの教科書には「茶碗の湯」が載っていないそうです。残念です。ぜひ皆さんもこれを読んでみて下さい。数年前のセンター試験の地学基礎で寺田先生の随筆が出題されてましたね.




卒業生(大学院修了生)の進路と就職先


卒業生は,修士修了生は気象に関連する分野への就職する学生とそれ以外の分野に就職する学生に分けることができます.気象以外の分野に就職することは専門を生かせないのではないか?あるいは,就職に不利なのでは?と思われがちですが,研究室での研究を通じて培われた力は,人の上に立つような立場を将来目指す人たちの職業力を強めます. 企画力や問題を設定する能力(卒業研究・修士研究の内容を自分で決めることがそれに対応),それを解決する能力(卒論修論を実施してそれをまとめること),プレゼン能力(学会発表すること)が,学生たちが研究することで自動的に鍛えられます.また,気象に影響を受けるビジネスは数多あり,学生たちには就職の面接ではそれを売りにするように..と伝えてます.なぜなら数多ある学生の中で気象を本格的に学んだ学生は僅少なので,面接官から「つかみを」得られますよ..と教えています.その甲斐あってか,就職での苦労の程度は他の研究室と比べてみて低いと感じます.あっさりと就職を決める学生が覆うと感じます.気象関係以外の就職先は多業種なので,気象関連分野に絞っていくつかを列挙します

・気象庁職員 気象庁に入るためには公務員試験に合格しなければなりません.研究室卒業生からは何人もの気象庁に就職しております.合格率は高いです

・地方公務員 地方公務員に合格する学生はきわめて多いです.面接でも,気象を学んでいることを強調するように..と学生には伝えてます

・ウェザーニューズ この会社は気象予報会社としてはかなり個性的な会社で有名ですが,おかげさまで数名がここの就職しております.合格率もきわめて高いです.

・日本気象協会 ここも予報会社として有名ですね.1名の卒業生が活躍してます.


毎日がオープンキャンパス


いつでも研究室を訪問してください

全国すべての大学がオープンキャンパスを特定の日に実施しておると思います。ぼくらは毎日がオープンです。いつでも研究室にいらしてください。出張中のこともありますのでその際は事前に電子メールでアポを取ってください。大学は敷居が高い。もし受験で落ちたら気まずい。などあるかもしれませんが、気にせずいらしてください。それでも敷居が高そうなら、僕ではなく研究室の学生を訪ねてみてはいかがでしょう。学生の雰囲気を知るためには、(研究室の学生ページ)(学生のブログ)をごらんになるのも良いでしょう。

研究室紹介(2022年版)(こちら)