地球システム学講座

気候変動や異常気象発生などの地球環境の変化は,大気・海洋・土壌・植生・水圏・生態圏と人間・諸動物の活動などから成る地球システムや生態環境システムと連動している。これらシステムを構成する基本構造,変動過程,共生関係や相互作用について,例えば,地球の進化,風土・テロワール,地球環境保全,動植物の生理生態・生態調和や人間活動について,観察・観測,実験・調査,リモートセンシング,数値解析などを援用して研究する。研究で得られた新たな科学的知見,研究を通して修得した思考力・実践力を活かし次代の文化形成と持続可能な社会構築に貢献できる人材養成に向けた教育研究を行う。

地球システム学講座の教育研究分野

気象・気候ダイナミクス

猛暑や冷夏,寒波や豪雪や暖冬,異常多雨や干ばつ,北極の海氷の減少,地球温暖化。これら地球規模での異常気象や気候変動が「なぜ?」 起こっているのか。この「なぜ?」に対する完全な答えを人類はまだ得ていない。研究室ではこれらの解明に挑んでいる。熱帯や北極の異変が日本の異常気象に及ぼす影響などの,地球規模の気象研究と,黒潮など日本周辺の海が異常気象や台風・豪雨などに及ぼす影響などのローカルな気象の双方を,練習船を用いた海洋上の気象観測や陸上の気象観測,そして地球全体や日本周辺の大気の流れや気温の変化の数値シミュレーションによって研究を行っている。

気象解析予測学

気象は私達の社会経済活動と密接に関わっています.このため,例えば気象庁は,数日先までの短期予報,1週間先までの中期予報,半年後までの長期予報など,各種の天気予報を公表しています.しかし,特に中長期予報の社会への応用はまだまだ不十分です.一方で,この天気予報作成のために世界各地で観測された過去の気象データが蓄積されています.こうした気象に関する様々なデータの解析を通じて,「気象メカニズムの理解の深化を通じた気象予測精度向上への貢献」と「気象予測データの社会への応用」を行うことが当研究室の目標です.

未来海洋予測学

地球の表面積の7割を占める海は、大気を暖めたり冷やしたり、水蒸気を大気に与えたりすることで、地球の気候に大きな影響を及ぼしています。海が寒波や猛暑、大雨や干ばつの原因となっていることも多いと考えられているのです。しかしながら、海と大気の変化の仕組みは複雑で、気候変動における海の役割を明らかにするために今後解明していかなければならない研究課題がまだまだ数多く残されています。研究室では、集中豪雨、低気圧、台風など様々な大気現象に対して海がどのような役割を果たしているのかを明らかにしていくとともに、海の将来の変化が気候変動にどのような影響を与えるのかを調べていきます。

海洋気候学

今日大気中の二酸化炭素などの増加で気温が上昇し,地球温暖化がいろいろな異常気象の原因ではないかと言われている。海洋でも北極海の海氷の減少や深層水温の上昇などの異常海洋現象が報告されている。この研究室では,関連する海洋気候変動や海洋大循環の流速,水温,塩分,密度などの変化を調べている。手法には,三重大の練習船「勢水丸」による直接海洋観測とその結果の解析,コンピュータを用いた数値モデル実験,日本海洋データセンターなどに蓄えられた長期観測データの解析などがある。大切な地球環境を守るため,皆さん,地球気候変動の核となる海洋のいろいろをいっしょに調べましょう。

地球システム進化学

"地球とともに生きる"?地球温暖化・エネルギー等の人類的課題に対し未来展望を明らかにするためには人間を含む地球をシステムとして理解することが大切である。本研究室では,(1)「これまでの地球」について,生命進化,白亜紀温暖期,恐竜絶滅,氷河期の謎,など地球史イベントを調べ,地球がいかに微妙なバランスのもとで成立しているか,を研究している。また,(2)「これからの地球」?持続的な地球システムについて,自然のエネルギーを利活用した地球とともに生きる具体的ビジョンについて研究し,自治体,一般企業,市民の方々といっしょに実践的な未来ビジョン作りに取り組んでいる。

土壌圏システム学

地球の表面を覆う土壌圏は多くの動植物の生産・活動の場であり,土壌圏と水圏,気圏,生態圏との間の水・エネルギー・物質の循環システムは気候形成や植生の状態を強く支配している。特に,凍土地帯の循環システムは温暖化にともなう寒冷地の農業利用や気候変動へのフィードバックの見地からも重要である。土壌圏におけるこれらの循環の実際をとらえ,今後の変化を予測し,健全な循環システムの持続を目指す教育研究を行う。

フードシステム学

フードシステムは,地球環境を適度に制御しつつ環境保全に寄与する唯一の産業である農林水産業を起点に,「食料生産」・「食品加工」・「食品流通」・「食品販売」までを繋いでいる。本教育研究分野では,「フードシステムのスマート化」,「農林水産業のスマート化」,および「農林水産物・食品の保蔵方法と品質・文化に関わるミクロ・マクロ・メタ情報の連続的な取り扱い手法」を対象とする。特に,「農業を取り巻く水循環の観測と解析」,「農作物とその生育環境のモニタリングとモデリング」,「農林水産物・食品の保蔵技術」,「食文化を備えた仮想フードシステム空間設計」などに関する教育と基礎・応用研究を行う。

水環境・自然災害科学

水を「自然の恵み」ととらえるか,「災害を起こす脅威」ととらえるか?当分野では両方の観点から「水」を考え,良好な水環境を守るとともに水災害から人を守るための教育・研究を行っている。学問分野的には,水文学,水資源工学,河川工学,自然災害科学ということになる。水循環の中では,降水や洪水といった辺りを重視し,自然災害科学の中では,豪雨災害,洪水災害,地震(特に南海トラフ地震)に重点を置いている。「水の教育・研究」と「地震の教育・研究」の両方を行っているところはあまりないと思うが,対象物が少し違うだけで,手法的には「統計的手法」「非線形科学的手法」を共通して用いるので,我々にはあまり違和感がない。

緑環境計画学

森林・緑環境の機能評価を基礎に,森林生態系や生物多様性の保全に配慮した森林の取り扱い方法について研究している。樹木個体や林分集団の継続調査を行い,森林などの陸上生態系の環境応答の評価とその手法開発,乾燥地植物の光合成と水利用に関する戦略の解明,また熱帯林など,世界の森林資源の適正な管理手法の開発など,地域の問題からグローバルな課題まで,取り組んでいる。具体的には,「持続可能な森林経営」を目指して,植物の生き方(生理生態)や環境との関わり(環境応答),森林管理の基準・指標作り,森林成長予測,住民参加型森林計画などの観点から研究している。

環境解析学

本研究室では,贅沢ではないが十分に自由で安全で快適な社会の実現を目指している。我々は,世界の様々な側面を評価する。例えば,安全と快適は両立しないことが多い。風を切って走るオートバイは楽しいものだが,通常より大きな危険を冒すことになる。また,地域の環境をよくすることと地球の環境を良くすることもしばしば両立しない。そして世界の様々な側面の評価に基づいて,十分に自由で安全で快適な社会のための適切な地域の管理方法を考える。本研究室では,世界の様々な側面を評価し地域の管理方法を考えるときに,景観を利用する。というのは世界の様々な側面が表出され,人々に認知されるのが景観だと考えているからである。

自然共生学

自然環境を維持しながら人間活動を発展させていくための知識や技術の習得,能力開発を目標としている。連携大学院の構成研究室である当研究室では近隣の林業地や里山,都市近郊林などを対象に,森林劣化や生態系の断片化の問題,生物多様性や自然環境の保全などの課題に取り組み,自然と人間社会との望ましい関係の解明を目指している。

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