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2つの登録有形文化財
三重大学には、2つの登録有形文化財があります。
そのいずれも生物資源学研究科の前身校に深いつながりのある歴史的建築物です。
ひとつは三重高等農林専門学校の同窓会館として建築された「三翠会館」、もうひとつは三重県立大学の附属図書館として建築され、その後水産学部の食堂として親しまれた「レーモンドホール」です。
➡ 三翠会館
➡ レーモンドホール
レーモンドホール
レーモンドホールは、三重大学の前身である三重県立大学の附属図書館として建築された歴史的建築物です。
三重県立大学の国立移管とともに現在の場所に移築され、水産学部の食堂として学生や教職員に親しまれました。
2014年に耐震改修工事を行い、リニューアルオープンしました。
三翠会館とともに登録有形文化財として登録されています。
➡ 三重大学レーモンドホールとアントニン・レーモンド (三重大学附属図書館研究開発室ギャラリー)
三翠会館
「三重大学三翠会館」は、三重大学の母体である三重高等農林学校の開校10周年記念事業として同窓会の醵金により建築されたもので、建築工事は昭和11年(1936年)1月28日に着工し、約9ヵ月を要して同年9月24日に竣工し、同年11月1日開館しました。 三翠会館は、木造洋風2階建一部平屋建で、集会室として1階洋室と2階和室が設けられ、面積は1階309m2、2階192m2、計501m2です。これまで、集会・宿泊や校史関係資料展示などに活用されてきました。 さらに昭和47年(1972年)には、農学部創立50周年記念事業の一環として、集会室の西側に新たにベランダが設けられました。 このベランダは、グラバー邸を思わせる明治調のもので、三翠園とよく調和した景観をかもし出しています。 三翠会館の建築は、簡潔な意匠による経済的で技術にも容易な技術様式体系が用いられ、昭和戦前に建築された地方の木造公共建築の特色をよく留めていることから、平成14年(2002年)2月14日、登録有形文化財に指定されました。 また、三重大学開学50周年記念事業の一環として同会館の大改修工事が行われ、平成14年(2002年)3月25日竣工し、三重高等農林学校時代の唯一の既存建物としてキャンパスに由緒ある風情を残しています。
三翠会館の改修工事
平成14年(2002年)の改修工事では、登録有形文化財としての価値を損なうことのないよう、また一般にも公開できるよう諸設備も備え機能的で利用しやすい建物として、展示資料、人・文化の交流活動をとおし「歴史から学ベる記念館」をコンセプトに計画されました。
構造等保存
外壁、内壁、床、それぞれの下地補修および補強、天井補修等が行われました。各工事にあたっては、できるだけ当初材を再利用し、材の取替えでは材種を、仕上げを新しくするときは形式、工法とも当初の方法を踏襲しています。また耐震診断に基づく耐震補強も行っており、基準値以上の安全性が確保されています。
仕上げ及び機能面のリニューアル
基本的に外観・内部とも既存の形を残し、外部の塗装色は塗料の調査、当時の資料等により慎重に検討し、当初の色を選び出し三翠園との調和をはかっています。また、高齢者等に配慮したスロープを三翠会館の玄関手前から東面にかけて設置しました。
内部の主な部屋も当初の色を調査し既存の形を残していますが、既存1階のトイレ等水廻り部分は、腐朽老朽が著しかったため、一般への開放、高齢者等ヘの対応を考えて、既存部分の内装と調和を図りながら新しくなりました。 また、多目的ホールにおいても空調設備を設け、講演・研修等、交流活動を支援できるようにしています。
旧三翠会館の建物
規模と構造・・・建築面積357m2、建築延面積501m2(1階309m2、2階192m2。 木造二階建(一部平屋建)、寄棟造(一部切妻)
竣工・・・昭和11年9月24日
設計・・・三重高等農林学校工手 的場久壽雄
施工・・・三重県河芸郡栗真村大字町屋 加藤組・加藤要作
登録有形文化財・・・平成14年2月14日付け登録(登録番号24-0041)
建物は木造で西面し、北寄りの2階建て部分と南寄りの平屋部分からなっています。2階建部分は西正面中央に車寄せが突出し、大屋根も寄棟造を基本としますが、正面中央は切妻破風を設けて正面性を強調させています。
平屋部分は、西切妻造東入母屋造となる等外部は、変化に富んだ構成の木造洋風建築です。
また、この建物は完成時屋根にドーマー窓が設けられ、洋風建築の外観を-層際だたさせていたが後年に取り除かれています。
なお、屋根の構 造は大規模なトラス組構造となっています。外壁は、主に下見板張りぺイン卜塗り仕上げで、化粧柱型や窓枠によって全体に縦長に壁面を分割されており、窓は上げ下げ窓と引き違い窓を併用としています。
内部は2階建て部分の階下に応接室兼展示室・展示室・事務室・ロビー兼休憩室・湯沸・便所などを設け、玄関ホールからは平屋部分の多目的ホールに接続しています。
これらの1階は板床で格天井または打上天井を用いた洋間で、これに対して2階は28帖の大広間と8帖の和室4室、これらの部屋の周辺の廊下にて構成されるゆったりとした本格的日本間です。
また、建物仕上げの細部に幾何学的形態の装飾がところどころ施されているのも、この当時の建物の特徴です。