11/28科学新聞に股村真也さん(後期博士課程3年)、近藤誠准教授らの黒毛和牛の肥育を支える新技術に関する研究成果が紹介されました。

2025年11月28日、株式会社科学新聞社が発行する「科学新聞」に『効率よくエサ消化? 黒毛和牛 糞で診断』というタイトルにて、本研究科 後期博士課程3年の股村真也さん近藤誠准教授草地・飼料生産学教育研究分野)らの黒毛和牛の肥育を支える新技術に関する研究成果が紹介されました。

詳しくは三重大学の研究最前線 Rナビをご覧ください。

https://www.mie-u.ac.jp/R-navi/release/cat775/ai.html


三重県畜産研究所で飼育される黒毛和種肥育牛

本研究科 資源循環学専攻股村真也さん(後期博士課程3年、草地・飼料生産学教育研究分野)と近藤誠准教授らの研究グループは,黒毛和牛の糞を用いた新たな技術で、牛がどれだけ効率よくエサを消化しているかを予測する方法を開発しました。

霜降り肉として評価が高い黒毛和牛は全国各地で育てられている一方、生産現場では飼料コストの上昇が重要な課題となっています。和牛は肥育に必要なエネルギーの多くをデンプンから得ているため、その消化効率を高く保つことが効率的な和牛生産に必要です。しかし、これまでは農家の牛を対象に消化効率を調べる手段がありませんでした。

研究グループは、複数の研究牧場にて5年間かけて116頭もの黒毛和牛を対象に、食べたエサの量や排泄物の成分を詳細に解析しました。その結果、糞に残るデンプン濃度から消化効率を予測する新しい方法の確立に成功しました。さらに、これまで時間や労力がかかっていた化学分析に代わり、光(近赤外線)による速やかな測定法や、糞のスマートフォン画像から消化効率を予測する斬新な調査方法の可能性も示しました。本研究成果により、黒毛和牛のエサ利用を科学的に把握できる道が開け、無駄の少ない飼料設計や効率的な和牛生産に繋げていくことが期待されます。
本研究の主な成果が、2025年10月9日付でネイチャー出版グループの国際科学誌「Scientific Reports」に掲載されました。

  • 肉牛の肥育に大切なエネルギー源である"デンプン"の消化効率を、糞から予測可能
  • 5年間にわたり 116頭の黒毛和牛から得た国内最大規模のデータを解析
  • 光による速やかな測定法と AI による画像解析技術の可能性を開拓

掲載誌:Scientific Reports
掲載日:2025 年 10 月 9 日
論文タイトル:
Estimation of total-tract starch digestibility using fecal starch concentration in fattening Japanese Black cattle
著者:
by Masaya Matamura, Makoto Kondo
URL:
https://www.nature.com/articles/s41598-025-19380-1
掲載誌:Computers and Electronics in Agriculture
掲載日:2025 年 1 月 25 日
論文タイトル:
Prediction of fecal starch content of fattening cattle using near-infrared spectroscopy and machine learning
著者:
by Masaya Matamura, Takumi Sekoguchi, Yoshimasa Nishikawa, Hirotaka Naito, Atsushi Hashimoto, Makoto Kondo
DOI:
https://doi.org/10.1016/j.compag.2025.110015
掲載誌:Computers and Electronics in Agriculture
掲載日:2024 年 7 月 24 日
論文タイトル:
Fecal image-based starch digestibility estimation in fattening cattle using deep learning
著者:
by Masaya Matamura, Hirotaka Naito, Yoshinari Morio, Makoto Kondo
DOI:
https://doi.org/10.1016/j.compag.2024.109246
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