森林資源環境学講座

多面的な機能をもつ森林の特性を理解し,自然環境との調和を保ちながら, その資源と多様な機能を持続的に利用する方法を探求してゆく。

世界の陸地の30%を覆っている森林は,陸上の生物現存量の90%に達する巨大な生物群集である。このため森林は,地球環境の維持に大きな役割を果たすと同時に,再生可能な資源としても重要である。 さらに,国土保全,水源かん養,気候緩和などの環境を調節する機能があるばかりでなく,緑の空間が精神的な安らぎを与えるなど,森林は私たちの生活に大きく貢献している。我々の講座では, 生態学,植物学,微生物学,土壌学,化学,物理学,情報科学などの講義・実習や,附属演習林における実習などを通して,多面的な機能をもつ森林の特性を理解し,自然環境との調和を保ちながら, その資源と多様な機能を持続的に利用する方法を探求してゆく。



生物資源学部では平成27年度から、資源循環学科、共生環境学科、生物圏生命科学科の3学科体制のもと、専門分野を再構成しました。

森林資源環境学講座の教育研究分野

森林保全生態学

森林生態系の基本要素である樹木を対象に,天然生の森林群落の生物多様性や群落構造を長期間測定し,さらに,個々の樹木の生育環境を調べることで,森林生態系が維持されるしくみを解明する研究を展開する。また,樹木の DNA 分析により遺伝的多様性などを明らかにする研究を行う。

森林微生物学

森林生態系における物質循環の機構を探り,絶滅危惧植物を保全するため,森林における微生物,とりわけ植物に関連する真菌類(菌根菌), 細菌類や線虫類などの種多様性やその役割を微生物の有する形態,組織,遺伝子情報を手がかりとして生態学的な調査・研究を行う。

土壌圏生物機能学

当研究室では土壌や植物に含まれる各種元素量を化学的に分析する技術を習得し, 植物の生育土壌適応や各元素に対する過剰症,欠乏症発生機構に関する研究を行っている。 近年では蛇紋岩土壌という貧栄養と高金属を特徴とする土壌を対象とし, ニッケル-鉄栄養に関する研究を実施しているほか,現在は博物館等の所有する植物標本を対象とした分析を開始し, 日本の野生植物の「元素集積データベース」構築を目指して研究を進めている。

森林総合環境学

循環型社会と共生型社会の構築という視点から、森林の持続的な利用と環境負荷の低い木材の利用方法について研究しています。 森林関係の各分野と連携しながら環境社会学などの人文・社会科学的な手法での研究、木材利用により生じる環境影響を評価するライフサイクルアセスメントの手法についての研究などを行っています。

緑環境計画学

森林・緑環境の機能評価を基礎に,森林生態系や生物多様性の保全に配慮した森林の取り扱い方法について研究している。樹木個体や林分集団の継続調査を行い,森林などの陸上生態系の環境応答の評価とその手法開発,乾燥地植物の光合成と水利用に関する戦略の解明,また熱帯林など,世界の森林資源の適正な管理手法の開発など,地域の問題からグローバルな課題まで,取り組んでいる。具体的には,「持続可能な森林経営」を目指して,植物の生き方(生理生態)や環境との関わり(環境応答),森林管理の基準・指標作り,森林成長予測,住民参加型森林計画などの観点から研究している。

森林環境砂防学

豪雨や地震,火山噴火など,様々な要因によって発生し,甚大な被害をもたらす土砂災害の発生機構を解明し,その防止・軽減につながる手法を開発・提案するための研究を行っている。 自然または人為的な要因によって変化した森林環境を評価し,災害の防止・軽減の観点から適切な状態に修復することを目指した調査・研究も行っている。 これらをもとに,土砂災害の防止・軽減と流域での安全な生活につながる情報を社会に提供することを目指す。

森林利用学

わが国の約70%が森林である。この広大な森林は,重要な資源であり,また生物の生息・生育域でもある。森林の持続的な利用と適切な管理を目指して,現地調査を行い,また数理モデル,リモートセンシング,GISなどを活用し,森林利用学,森林情報学的手法によって「木材生産作業の低コスト化」,「森林の広域的な分布・動態・機能の解明」などについて研究を行っている。

木質資源工学

古来より住宅や家具,生活用品など,我々の生活は木材と密接に関係してきた。木材は光合成によって作られるため,天然由来でありながら永続的に再生可能な有機材料である。中空状の繊維が束になった構造であるため,木材は軽量かつ高強度であり,また,高い断熱性や調湿性を有している。本研究室では,木材を有効利用する上で必要な木材知識の探求,住宅分野を中心とした快適性や技術応用の提案,現代社会における最適な木材利用に向けた公益的価値の定量化など,木材利用に基づく社会づくりを目指し研究を行っている。

木質分子素材制御学

二酸化炭素と水を原料に光合成により形成される木材は貴重な再生可能有機資源である。本研究室は,木材を構成する木質分子素材(セルロース,ヘミセルロース,リグニン,抽出成分)を,余すことなく総合的に活用することを目標として,[1] 木材成分分離技術,[2] セルロースやリグニンの変換反応と利用,[3] 機能性木質繊維・バイオマス材料の開発,などについて研究を行う。草本リグノセルロース系バイオマス(竹,バガス,ソルガム茎など)も研究対象としている。

木質資源工学
(森林総合研究所)

当研究室では国内で伐期を迎えている生産林をターゲットとして,木材を有効利用する上で必要な木材の樹種識別・乾燥・切削加工などの技術開発を,最新機器を用いて行っている。また,感性工学に基づく居住者の快適性や,本邦広葉樹利用を念頭においた木質住建材の開発なども行っており,木材利用に基づく社会づくりを目指している。

自然共生学
 

自然環境を維持しながら人間活動を発展させていくための知識や技術の習得,能力開発を目標としている。 連携大学院の構成研究室である当研究室では近隣の林業地や里山,都市近郊林などを対象に,森林劣化や生態系の断片化の問題, 生物多様性や自然環境の保全などの課題に取り組み,自然と人間社会との望ましい関係の解明を目指している。

最近の出来事

パンフレット